経済基本金利6回連続引下げ=過去最低に近い9%に=民間銀行も貸付金利引下げ=インフレ懸念より活性化
ニッケイ新聞 2012年4月20日付け
17、18日に開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)が、経済基本金利(Selic)を9・75%から0・75%ポイント引下げ、9%にする事を決めたと19日付伯字紙が報じた。民間銀行大手4行も18日までに、貸付金利の引下げを発表した。
今回の通貨政策委員会で基本金利が再び引下げられる事は、前委員会議事録からも予想されていた事で、市場関係者の間では引下げ幅も0・75%ポイントとの予想でほぼ一致していた。
基本金利の引下げは、欧州での経済危機が表面化し、国際経済の先行きが不透明になって来始めた昨年8月の委員会以来6回連続。今回の委員会も、国際経済の不透明さが基本金利引下げの理由の一つに上げているが、これを裏返せば、欧州の経済危機の影響で始まったブラジル経済の減速化に十分歯止めがかかっていない事を意味する。
昨年度の経済成長率が3%を切った事でも分かるように、欧州経済危機の影響は、米国を震源とした08〜09年の金融危機よりも深刻だ。
この事は、年9%という新しい基本金利が、09年7月の年8・75%より高いものの、インフレ率を考慮した実質金利では、09年の3・9%より低い3・3%になる事からも窺われる。
市場では、3月のインフレが2月の半分以下の0・21%で市場の予想を下回った事から、中銀は5月にも基本金利引下げを継続との見方も出ていたが、アレッシャンドレ・トンビニ総裁がその後、物価は予想通りの動きを見せていると発言した事で、引下げ継続の予想は難しくなった。
とはいえ、3月の基本金利引下げ後、ブラジル銀行と連邦貯蓄銀行が4日と9日に貸付金利を引下げた事やギド・マンテガ財相らの批判などを受け、民間銀行のHSBCが12日、サンタンデールが17日、イタウとブラデスコが18日に貸付金利引下げを発表。ジウマ大統領が望む、国内消費拡大による経済活動活性化のため、個人融資の利用が増える条件が整ってきたといえる。
ただ、気をつけなくてはならないのは、身の丈にあった融資の利用で、家屋や車などの資産購入で利用した融資を返済中の人が新たな融資を利用する時は、自らの返済能力を十分に考慮する必要がある。また、車購入時の融資許可審査の基準が急に緩む事はない。
中銀は、現在のインフレは心配する状況にはなく、経済活動は下半期から好転と見ているが、現在での市場での経済成長予測は年3〜3・5%。インフレに関しては、5月までのインフレは穏やかで、12カ月の累積も5%を割り込むが、6月以降、インフレが徐々に進み、年間インフレ率は5・08%、来年は5・50%というのが市場の予想。インフレ抑制のために中銀が基本金利引上げに転じるのは来年4月以降と見られている。