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Rio+20=現状での開催に待った=社会や経済の前に環境を=マリーナ前環境相らが提案書

ニッケイ新聞 2012年4月20日付け

 6月に開催される「地球サミット2012(正式名称:国連持続可能な開発会議)(Rio+20)」に対し、マリーナ前環境相らが警鐘を鳴らしている。19日付エスタード紙が報じている。
 18日、環境相経験者や環境問題の専門家らのグループが、サンパウロ州で「Rio+−20?」という提案書を発表した。提案書では、会議のあり方やブラジル政府の姿勢に疑問を投げかけている。
 マリーナ前環境相は「20年前、ブラジルは国の内外に今日まで続く重要な結果を生んだ会議を推進する役割を果たした。だが今回の会議では、環境問題に対して場違いなことが行われようとしている」と語った。
 今回の地球サミットに関して、ブラジル政府や国連は今回のサミットは環境問題のみを扱うのではなく、持続可能な開発という意味で「社会、経済、環境」を三本柱とすると発表していた。だが、政府や国連の姿勢は、会議の焦点をぼかし、本当の意味で持続可能な〃緑の経済〃確立のために不可欠な環境そのものについて話し合うことを忘れさせるもので、「これでは92年より後退している」とマリーナ氏は語っている。
 また、92年の地球サミットでブラジルを牽引、同グループのリーダーであるルーベンス・リクペロ元駐米大使は「もし我々が地球の温度が2度以上上昇するのを防げなければ、社会や経済も存在しない。環境問題は地球そのものを支える土台なんだ」と語っている。
 また、大切なことはブラジルが自らの姿勢を明確にすることだとも強調。ブラジリア大学の国際関係研究所のエドゥアルド・ヴィオラ調査員は「会議の結果を変えることは困難だが、ブラジルが環境問題を第一とする姿勢に転じることは可能だし、人類の進化にかける姿勢を明確にすることで今回の会議や将来に大きなインパクトを与えることができる」としている。
 また、同提案書では、環境問題そのものに関する具体的な提案として、二酸化炭素の排出量の少ない「低炭素社会」への移行を上げている。低炭素社会は地球温暖化や持続可能な開発に対する解決策だが「そうした社会を実現するための具体的な行動はまだ示されていない」とマリーナ氏は語っている。
 リクペロ氏はこの提案書をジウマ大統領に郵送することで、サミットまでに環境に対して建設的に話し合う機会が出来ればと望んでいる。会議で採択される提案書をより積極的なものにするために、交渉し、改善するための時間はまだあると考えているからだ。