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アルゼンチン=マルビーナス主権問題=真珠湾並みの奇襲だった?!=軍部を本当に恐れるのは誰

ニッケイ新聞 2012年4月21日付け

 【らぷらた報知4月12日より抜粋】マルビーナス諸島(英国名=フォークランド諸島)のナイゲルヘイウッド(Nigel Haywood)知事は、アルゼンチンの主張する英亜間直接交渉を改めて否定し「島民の頭越しに行われる交渉は無意味である。島民の権利も尊重されなければならない」と述べている。
 クリスティーナ・フェルナンデス大統領の推進する〝話し合い?による解決を英国が拒否するとなると、残された解決は武力によるそれしかない。クリスティーナ大統領はあくまで交渉による平和的解決を主張している。それはクリスティーナが平和主義者であるからではなく武力では英国に勝てないことを知っているからである。
 だが、英本国では30年前のアルゼンチン軍による奇襲作戦を忘れておらず、アルゼンチンが武力に訴える可能性を否定していない。何故ならばアルゼンチンはマルビーナス戦争で敗北したとはいえ、アルゼンチン空軍は英国戦艦8隻を撃沈、11隻を破損すると言う戦果を上げており、アルゼンチンの戦力を甘く見てはならないとRoyalNavy(英国海軍)は見ているからである。
 その為、万一に備えてマルビーナス諸島の軍備をもっと増強する必要があるのではないかと憂慮を隠していないがフィリップ・ハモンド(Phillip Hammond)英国国防相は「その必要はない。アルゼンチン空軍機は40年以上前のミラージュで近代戦では使い物にならないと来ている。それに引き代えマルビーナスのマウント・プレザント(Mount Pleasant)英国空軍基地の飛行機は最新型のTyphoon であるのに加えて超音速のミサイル8基と一分間に25の弾丸発射、射程距離20キロの機関銃を備えた駆逐艦〝H M S D a u n t l e s s ?と原子力潜水艦を持っているとあってマルビーナス防衛はこれで充分足りる。それにアルゼンチンに戦意は無いと見ている」と述べている。(注=アルゼンチン空軍機は40年前の物と言うのは間違いでメネム大統領時代に空軍の要請により新鋭戦闘機A‐4AR36機を購入している。アルゼンチン空軍に不足しているのは戦闘訓練である)
 1982年のマルビーナス戦争で英国軍の損害が大きかったのは、アルゼンチンによる攻撃が予期しなかった不意打ちであったのと、英国側の兵站線の距離が長く延びたことによるものだ。今日、クリスティーナ政権がマルビーナスの軍備強化と騒いでいるのは今に始ったことではなく、30年前のアルゼンチン版〃真珠湾奇襲〃から得た教訓「備えあれば憂いなし」によるものとのことである。
 ハモンド英国防相の言う如く、アルゼンチンには軍事力に訴える気はないと言うより、軍事力そのものがないと言う方が当たっている。メネム時代における兵役義務制の廃止、キルチネル夫妻政権による軍部の骨抜き政策によってアルゼンチンの軍部は有名無実の存在となっているからである。
 いや、強力な軍部の存在を恐れるのは英国でなくアルゼンチンの方かも知れない。何故ならば現在のアルゼンチンの政治経済情勢はクーデーターが起こっても仕方がない状態にあるからである。