ニッケイ新聞 2012年4月21日付け
2日目の4月1日の朝8時。早々に起きて朝食を済ませた一行はホテルをチェックアウトし、バウルー近くの次の目的地「ピラチニンガ温泉」へ向けて出発した。
約30分後に到着。入ってみると広々とした施設は緑があふれ、朝の爽やかな空気がすがすがしい。プールのほか、テニスやバスケットコート、遊歩道などもある。椰子の木が両脇に並ぶ道を歩きながら、一行は施設の説明を受けた。
従業員によると同地に温泉があることがわかったのが1970年代。石油を採掘していたときに偶然発見されたという。990メートル下から湧き出る天然温泉で、42度の湯が36度ほどに調整され、プールに流れているとか。
その他冷たい真水や塩分が含まれている水など様々な露天のプールがあり、入浴希望者はおのおの持参した水着に着替え、簡単な健康診断を受けた。
少し入って「出ると寒いね〜」と言いながら引き返したり、入浴しなかった人は施設内のバールで軽食を取ったりと、それぞれ楽しんでいた。
「バウルーには沖縄の人がたくさん来ていたね」と話していたのは一行の高良幸一さん(76、沖縄県那覇市)=サンパウロ市在住=。県人の会が2つあるほど沖縄県人が多いバウルーで交流を楽しんだようだ。
1955年にいとこと2人で来伯した高良さんは、サンパウロ州オリンピアに1年滞在した後、12年住んだジャーレスでの知人と17年ぶりに会ったという。「向こうから話しかけてくれた。バウルーに住んでいると知らなかったので驚いた」
町に出るときは、よく一緒に待ち合わせて出かけていった仲だった。「沖縄でも二、三世が多くてあまりわからないようだったけど、良かったね」と笑顔を見せる。
ふるさと巡りに、夫の保己さん(84、鹿児島)と初めて参加した中山道子さん(77、二世)は「塩で体が浮いて気持ちよかった! 肩こりが治りましたよ」と嬉しそう。
バールでビンゴ大会を楽しみ、昼食を済ませた一行は午後2時頃、施設を出発。約200キロの道程をバスは走り約3時間後、パラグァスー・パウリスタ市に到着した。
閑静な民家の中から見えてきたのは、静かにそびえ立つ素朴で大きな鳥居だ。「ACEPP 1933年設立」という文字が刻まれている。
「パラグァスー・パウリスタ文化体育協会」会館がある敷地内には運動場やいくつかの建物があり、広々としている。バスを降りた一行は、集まった30人ほどの地元日系人に握手で迎えられた。(つづく、田中詩穂記者)
写真=ピラチニンガ温泉でリフレッシュした一行/パ・パウリスタ文協会館入り口で出迎えを受けた