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ブラジル人の生活様式に変化=出費を抑えて債務返済=サービス費の上昇も鈍る=金利を見比べて一工夫も

ニッケイ新聞 2012年4月25日付け

 景気減速などの影響を受け、ブラジルでも節約といった言葉が聞こえ始めたと23日付エスタード紙が報じた。債務不履行などが増える中、欲しいものの購入やローンの返済などのために、出費を抑える人々が増えてきたためで、サービス費の上昇傾向も鈍化しているという。

 好景気の時期に繰り返し言われていた〃所得向上と消費拡大〃という言葉が影を潜め、〃出費抑制〃や〃身の丈にあった〃といった表現が目に付く昨今。国内消費の拡大を図り、経済の再浮上をと考える政府の意向とは裏腹に、庶民の財布はより固くなりそうだ。
 大統領や政権への支持率はその時の国の経済力などを反映して動く傾向があり、ジウマ政権の評価は過去最高という21日付フォーリャ紙紹介のダッタフォーリャの調査結果などからいけば、意外な印象を受けるのが、サービス業の需要減少とか、負債が増えて消費減退といった見出しだ。
 サービス業には、教育や金融、家庭内労働、理美容、外食産業などが入るが、国民所得の向上などを反映し、その料金は通常のインフレ率以上に上がるのが常。年間インフレが6〜7%の時でも私立の学校の授業料は10%以上値上がりというのがざらだった。
 ところが、そのサービス費の上昇が鈍化。外食費の場合、2月が0・59%、3月も0・31%の上昇に止まった。
 失業率や平均所得には大きな変化はないようだが、最近繰り返されていたのは、負債の返済が90日以上遅れる債務不履行が増えており、消費者への融資が認められにくくなった一方で、貸付金利が下がらないといった報道で、新車の売上げが落ちたのと同様、サービス業の需要も減退し、料金値上げが抑えられているというのが23日付エスタード紙の記事だ。
 その一方、ローンで購入した車や家を失ったり返済遅れでむやみな利息を取られたりといった事態を避けたい人々がとりうる手段は、節約やより有利な条件の融資への乗り換えなどで、23日付エスタード紙では、週末の外食を止めたりレストランなどの割引メニューを利用したりして、ローンの返済費用をひねり出している人や、髪の毛は家で切るという消費者の声も掲載している。
 これと並行するように続いているのは、ブラジル銀行や連邦貯蓄銀行といった公的銀行や民間銀行の貸付金利やファンドの運用経費引下げといった報道で、車や家の購入用に組んだ高金利の融資の残りをより有利な条件の融資で返済すれば、全体では数千から数万レアルの差が出る場合さえあるという。
 政府の景気刺激策は思うような効果が出てきていない中、消費者は節約とローンの組み換え、サービス業者は薄利多売など、各々の状況に応じた工夫が必要な時代がやってきたようだ。