ニッケイ新聞 2012年4月28日付け
地理統計院(IBGE)が27日、2010年の国勢調査の結果、5年以上ブラジルに定住している外国からの移住者が10年間で86・7%増えた事などが判明したと発表したと同日付各紙サイトが報じた。
10年の国勢調査の結果、総人口が1億9070万人となった事は同年12月に発表されたが、テーマ別の集計結果の発表は時間がかかり、27日は、外国からの移住者やブラジルへの帰国者、出生率などが発表された。
外国からの移住者の数は5年以上ブラジルに定住している人という条件で集計されたもので、10年は28万6468人がこの条件に適合。この数は2000年の14万3644人から86・7%増えているが、2008、9年の国際的な金融危機や2011年の欧州経済危機による移住者は含まれていない。
10年の調査での外国人移住者は、サンパウロ州とパラナ、ミナスの3州で半数を超え、出身国別では、米国5万1933人、日本4万1417人、パラグアイ2万4666人、ポルトガル2万1376人、ボリビア1万5753人と発表された。
一方、国外からブラジルに戻ってきた人は、1995年と2005年の間に倍増し、17万4597人になったという。主な滞在先は米国と日本で、この数字も、国際的な金融危機や東日本大震災といった要因による帰国者を含んでいない。外国人移住者や帰国者の増加は経済の好調さが大きな要因だが、帰国者の増加には子供の誕生なども関係すると見られている。
一方、1940〜50年は2・39%だった年間の人口増加率が、50〜60年の2・99%を頂点に、60〜70年は2・89%、70〜80年は2・48%、80〜91年は1・64%、2000〜10年は1・02%と低下傾向が続いている。これを裏付けるのが、女性一人あたりの出生数の減少で、10年は遂に2人を切って1・9人。2・38人だった00年との差は0・48人だが、1940年との差は4・56人。出生率が最も低いのは南東伯の1・7人で、最高は北伯の2・47人だった。
この出生率の落ち込みをカバーしているのは新生児や乳児の死亡率低下で、出生児1千人あたりの1歳未満の子供の死亡率は、00年の29・7人から47・6%減の15・6人となった。新生児や乳児の死亡率低下には、医療事情の改善と共に母親の就学年数の増加や少子化が関係していると見られている。
また、「先住民の日」の19日に先駆けて18日に発表された先住民人口は、81万7963人で、10年間で8万3836人の増加。1991年から00年に43万9996人増えた事からいけば伸び率が極端に落ちているが、農村部に住む先住民は50万2783人で前回比43%増え、市街地と農村部の先住民比率が逆転している。