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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年4月28日付け

 27歳で初当選。田中角栄首相に学び、自民党幹事長に抜擢されたのが47歳の若さであった。次期総裁を選ぶために実力者らと面談し、宮沢喜一氏を合格とするなど隠然たる力を発揮し、政界に重きをなし、その後も紆余曲折はあったけれども、政局を左右するほどの威力を示し、民主党を政権の座に導いたのも小沢一郎氏であり、世では—いみじくも「闇将軍」と呼ぶ▼師の金丸信氏は、「乱世ならば小沢一郎」と評したが、あの細川護煕内閣を成立させたときの辣腕ぶりは今に語り継がれる。その一方では、建築族とし霞ヶ関と業界を睨む「灰色の噂」も飛び交い、なにやら「怪しい」と巷の人々は語り、悪評が多いのも隠せない。それでも、親愛なる中国訪問では衆参の議員らを140名かを引き連れ、経済界も400人だかがお供する弥次喜多道中となりマスコミも苦笑い、ちょっぴり批判の一幕も懐かしい▼そんな小沢一郎氏を東京地裁が「無罪」とした。勿論、小沢被告は大喜び。検察側は、天を睨んで悔しがったそうだが、控訴するかどうかはまだ決めていない。もし高裁、最高裁となれば、これはもう田中裁判と同じようになり、いつ終わるともしれない長い裁判になる。だが、地裁の無罪判決はやはり大きく、政治的な意味も深い▼無罪獲得で党員資格停止の罰則も解除となるだろう、小沢陣営は「政権倒閣」の意向を強めている。首相の消費増税にも猛反対だし、もし採決となれば反対か棄権の造反に踏み切る方針を固めているし、首相の胸中には苦悩が渦巻き、苦境脱出の方策はと頭が痛い。と、政界は爆弾を抱えての動きとなる。(遯)