臓器移植=登録システムが2つ=特定患者のチャンスが倍に=将来的な統合の可能性は?
ニッケイ新聞 2012年5月3日付け
国の運営する臓器移植に関する登録システムの整備が遅れたことで、サンパウロ州に既にあった独自の登録システムとの統一ができず、臓器提供を待つ患者の間で不公平を招く可能性があると、4月30日付エスタード紙が報じている。
全国移植システム(SNT)は保健省が2010年にはじめた登録システムで、その情報運営システム(SIG)には、全国のドナー(臓器提供者)と受給者(レシピエント)の情報が登録されている。
だが、サンパウロ州にはそれ以前から州独自の登録システムが存在し、10年以降もSNTに統合されないまま運営が続けられている。サンパウロ州の登録システムでは、サンパウロ州内の受給者への臓器提供を前提にしているが、州内で受給者が見つからない場合、SNTに依頼してサンパウロ州外の受給者を探してもらうことも可能である。
国内に二つの登録システムが存在すると、臓器希望者も二つのシステムに登録することが可能となるが、これにより、複数登録者が片方だけの登録者より臓器提供を受けやすくなることを問題視する声が出ている。また逆に、SNTの運営者のひとりであるヘルデル・ムラチ氏は「サンパウロ州外に住んでいる人が住所を偽ってサンパウロ州のシステムに登録した場合、サンパウロ州内の患者が迷惑を被る可能性もある」と危惧している。
連邦会計検査院(TCU)は、双方の登録システムについて調査する過程で、誰かが患者のデータを改ざんすることができる可能性があることに気づいており、ここ数年間に実現した移植リストを調査し、特定の患者に便宜がはかられた例がないか調べようとしているが、保健省は、移植リストを公開すれば提供者と受給者の個人情報が漏れる可能性があると反対し、進展していない。
またTCUは、SGIのシステムがハッカー攻撃にあいやすいことも苦慮しているが、それに対しムラチ氏は「たしかに脆弱ではある」と認めている。同氏は2013年には新しいプログラムに移行する予定であることを明らかにし、その時点で、サンパウロ州が独自のシステムを放棄するのを妨げていた理由は無くなるはずだと述べている。
現在のところ、保健省にはサンパウロ州の登録システムをSNTに統合する強制力はない。また、サンパウロ州保健局も、将来的なSNTへの統合は起こりうるとしながらも、サンパウロ州の築いてきたシステムを無にしないためには、専門医などの不足をはじめとしたSNTの現状の改善が必要だとしている。
2011年の臓器移植手術は2万3349件を数え、2144人が臓器を提供した。11年のSNTへの投資額は12億レアルだった。