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CPIの調査範囲は全国に=報告者の意向かなわず=3知事召喚は今後の課題=見え隠れする政治的意図

ニッケイ新聞 2012年5月4日付け

 【既報関連】賭博士のカルロス・アウグスト・ラモス容疑者と彼にまつわる汚職について調査するための第2回議会調査委員会(CPI)が2日に開かれ、デルタ・コンストルソンエス社に関する調査は全国を対象とする事などが決まったが、3知事の召喚は未定と3日付伯字紙が報じた。

 ラモス容疑者は〃カルリーニョス・カショエイラ〃の通称で知られ、CPIもカショエイラのCPIと呼ばれるほど。連邦警察のモンテ・カルロ作戦では、同容疑者とコンタクトがあった人物として、80を超える名前が挙がっている。
 それだけに、上下両院合同のCPIも、カショエイラ容疑者を巡る人物全てを調査対象とするのは困難で、対象の選び方次第では自分達の政党にも火の粉が降りかかるというのが現状だ。
 委員長を出している民主運動党(PMDB)や報告者を出している労働者党(PT)などの与党側は、政府の目玉政策である経済活性化計画(PAC)の最大受注会社であるデルタ社が槍玉に挙がる事で、官公庁との癒着その他に論が及び、自党政治家の名前が出るのは避けたいところ。報告者のオダイル・クーニャ下議は、モンテ・カルロ作戦の発端となったゴイアス州や連邦直轄区を管轄する中西伯担当理事のみを調査対象とするよう仕向ける意向だった。
 ところが、連警の調査で、汚職疑惑発覚で辞任したデルタ社元社長が、中西伯担当理事がカショエイラ容疑者と特別な関係にある事を知っていた事が判明。CPIでも、全国レベルでの調査を行う事が決まった。
 デルタ社に関する調査が全国に及ぶのは、政府擁護を試みたPTの目論見が外れた事を意味するが、現時点で召喚決定の政治家はデモステネス・トーレス上議(ゴイアス州、無所属)だけ。連警捜査でカショエイラ容疑者との関係が指摘されたゴイアス州マルコニ・ペリロ知事(民主社会党:PSDB)、連邦直轄区アギネロ・ケイロス知事(PT)、デルタ社元社長との欧州旅行の写真が公開されたリオ州セルジオ・カブラル知事(PMDB)の召喚は未定だ。
 CPIでは、8日にやはりカショエイラ容疑者が関係した不正疑惑を捜査したラス・ヴェガス作戦の担当警部、10日にはモンテ・カルロ作戦の担当警部と検事らからの報告を受けた後、15日にカショエイラ容疑者を召喚。同容疑者の経理担当者や片腕として行動していた人物などは22、24日、デルタ社の中西伯担当理事は29日、デモステネス上議は30日に召喚される予定だ。
 CPIでの証言内容がその後の捜査に影響するのを避けるため、ラス・ヴェガス、モンテ・カルロ両作戦の担当警部らの証言は非公開となった。ロベルト・グルジェル検察庁特捜局長官も、同様の理由で、CPIでの証言を断ったという。