ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | セーラ候補が宗教に言及=「信仰の自由」改めて強調=選挙戦戦略には否定的だが

セーラ候補が宗教に言及=「信仰の自由」改めて強調=選挙戦戦略には否定的だが

ニッケイ新聞 2012年5月5日付け

 10月のサンパウロ市市長選候補のジョゼ・セーラ元サンパウロ州知事(PSDB:民主社会党)が、選挙キャンペーンでの教会の活動に関して擁護する構えを見せている。4日付伯字紙が報じている。
 セーラ候補は、3日の明け方に放送されたレッジ局のテレビ番組「プログラマ・アマウリー・ジュニオール」でインタビューを受け、教会が議題としている中絶や同性愛などの問題に関して直接的な言及は避けたものの、「宗教を信じている人がその教義について議論することは正当なことで尊重されるべきこと。それに反対するのは独裁主義的だ」と語り、宗教関係者たちの主張を容認する構えを取った。
 セーラ候補と宗教団体との関係は市長選の行方を占う意味での一つのカギと見られている。セーラ候補は2010年の大統領選挙の際、中絶合法化反対の立場を取って、カトリックや福音派の票を集めたが、それに対し、ジウマ氏を大統領候補に擁した労働者党(PT)から「福音派を扇動した」として批判を受けていた。
 また、セーラ候補は同時に「宗教を市長選の戦略として使う意思はない」とし、選挙戦で宗教絡みの論争を発展させることはないとした。PSDBの対宗教団体の広報をつとめるヴァルテル・フェルドマン下院議員も「2010年の大統領選はブラジル史上最悪だった。宗教的なテーマは感情論に終始し、進歩的な議論が何ら起こらなかった」として、10年の大統領選挙時と同じ議題で論争するのを避けたいとしている。
 だが、その一方、セーラ候補は既にカトリックや福音派、ユダヤ教の各グループとの対話をはじめており、セーラ候補の選挙チームは、宗教関係者との関係ではPTのフェルナンド・ハダジ候補や民主運動党(PMDB)のガブリエル・シャリッタ候補よりも優位にたっていると自信をのぞかせている。
 同チームによると、ハダジ候補は教育相時代に同性愛者の権利などを擁護する教材の発行と配布を許可したことで宗教関係者からの評判はきわめて良くないという。PTはセーラ候補と宗教団体との関係を「保守的だ」としながらも、宗教関係者との対話を行おうとしている。
 また、PSDBは、シャリッタ候補を受け入れている宗教関係者は、同候補が所属している、カトリックの中でもカリスマ的なグループだけだと見ている。