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アマゾン開発の遠因はセラード=牧畜などの場所が移動=大西洋岸森林地帯ほぼ壊滅=自然災害増加も招く温暖化

ニッケイ新聞 2012年5月8日付け

 地球温暖化の防止や酸素の供給源として世界中が注目する法定アマゾンの森林伐採は、1900年代のブラジルの温室効果ガス排出量の29%を占め、原生林の約50%が伐採されたセラードの植生の変化が遠因だと5、6日付エスタード紙が報じた。

 森林の不法伐採というと真っ先に思い浮かべるのは、北伯からマット・グロッソ州北部に広がる法定アマゾンだが、アマゾンの森が牧畜や大豆栽培のために乱伐されるようになったのはゴイアスなどに広がるセラード開発が遠因だという。
 北東伯の一部からゴイアス州、マット・グロッソ州南部、南マット・グロッソ州、ミナス州北部に広がるセラードは、強酸性の土壌で知られる地域で、1940〜95年の温室効果ガス排出量の29%は、セラードの原生林伐採や焼失で発生したとされる。
 同時期の温室効果ガスを排出最多は、バイア州海岸部から南東伯、パラナの各州に広がる大西洋岸森林地帯(マッタ・アトランチカ)の43%。同時期のアマゾンの温室効果ガス排出は全体の25%だったという。
 南東伯の海岸地域を中心とする大西洋岸森林地帯は地域開発が進み、約90%が伐採済み。原生林が残るのは山間部のみといわれている。
 人の手が入り難い山間部の原生林が残っているため、伐採によって放出された温室効果ガスは本来の原生林が吸収していたはずのガスの42%のみとはいえ、大西洋岸森林地帯の消失は深刻だ。
 だが、アマゾンへの影響が大きいのはゴイアス南部やサンパウロ州北部、ミナス州三角地帯などを含むセラード。ゴイアス州クリスタリーナのペドラ・チャペウ・ド・ソル(日よけ帽子の岩)周辺は、原生林伐採後に植林されたユーカリの木が優勢となるなど、パルプ原料のユーカリやアルコール原料のサトウキビ栽培増加による植生変化は歴然。これにより、牧畜や大豆栽培が移動していった先が、マット・グロッソからピアウイ、マラニョンにかけての森林伐採多発地帯とされている。
 一方、地域開発や工業化による森林伐採は、温室効果ガスの排出量増加と共に、地盤の脆弱化や気温上昇なども誘発。
 不法伐採への警鐘が盛んに鳴らされるアマゾンは、面積が広大な分、温室効果ガス排出量も本来の原生林が吸収できる量の6・3%程度だが、これからの数十年間で気温が上がる可能性が最も高いのは、このアマゾンでありセラードだ。
 一方、既に開発が進んで人口が集中する南東伯や、近年開発が進む北東伯からブラジリア周辺は人の活動が招く温暖化が懸念され、サンパウロ市やリオ、ベロ・オリゾンテ、マナウスなどの州都では洪水や土砂崩れなどの被害が増えるとの記事は7日付エスタード紙。リオ+20も近づく中、自然の叫び声にもっと耳を傾ける必要がありそうだ。