ニッケイ新聞 2012年5月9日付け
2011年のスーパーマーケットでの買い物の内訳を社会階層別に比較したところ、DEクラスの購入量の伸びは、AB並びにCクラスを上回ったと8日付エスタード紙が報じた。現政権の目玉の一つである極貧撲滅への取り組みが効を奏してきた証拠といえそうだ。
カンター・ワールドパネルによる調査は、全国8200家庭のスーパーでの買い物状況を毎週調べて分析したもので、約100品目の購入量が、2010年から11年にかけて最も増えたのはDEクラスだった。
10〜11年のスーパーでの商品の購入量の伸びは、DEクラス1・3%、Cクラス1・2%、ABクラス1%となっている。ジョアン・ガラシサンパウロ州スーパーマーケット協会会長は、ブラジルでは社会階層のピラミッドが長方形に近い形となっており、「底辺のDEクラスが11年の成長頭だった」という。
10年の場合、前年比の購入量の伸びは、ABクラス14・1%、Cクラス15・3%で、DEクラスはわずか0・7%だったが、11年は10年よりインフレが加速したため、スーパーでの購入量の伸びは全クラスを通じて10年よりも小さかった。専門家は、そんな中でもDEクラスが1・3%の伸びを示したのは注目に値し、政府の社会政策でDEクラスの購買力が向上した証拠だと見ている。
なお、購入量が増えたのは、DEクラスが洗濯用液体洗剤、殺虫剤、豆乳飲料、クリームやローション、味付き牛乳。Cクラスは洗濯用液体洗剤、紙おむつ、味付き牛乳、豆乳飲料、殺虫剤。ABクラスは洗濯用液体洗剤、紙おむつ、クリームとローション、シリアル食品、漂白剤だった。
11年のスーパーの売上げは2243億レアルで、インフレ調整後の実質的な伸びは4・4%。全国の店舗の19・9%が集中するサンパウロ州では684億レアルで、実質4・6%の伸びだった。サンパウロ州が全国の伸びを上回ったのは、北東伯などの伸びが鈍った証拠と見られているが、売上げに占める自社ブランド製品の割合が、2009年以降、4・6%、4・8%、4・9%と安定している事は、全国的な購買力向上の表れだという。
一方、2014年までに家族一人当たりの月収が70レアル以下の極貧層をなくす事を目標に掲げた現政権にとり、DEクラスの購買力向上は嬉しい結果だが、ジウマ大統領はそれでは飽き足らず、13日の母の日に新たな極貧撲滅策を打ち出す予定だ。
8日付伯字紙によれば、新対策では、未だに生活扶助(ボウサ・ファミリア)を受けていない約100万の極貧家庭では、就学年齢以下の子供が5人以上いる例が多い事を考慮。子供手当ての対象を0〜6歳児にも拡大し、手当てを受ける子供の数も現行の最高5人から無制限とするなど、16億レアル規模のものとなる見込みだという。