ニッケイ新聞 2012年5月9日付け
4月の自動車の在庫が2008年の経済危機以降最大となり、工場が生産を遅らせはじめている。8日付伯字紙が報じている。
4月末の自動車の手持ち在庫を何日分の販売額に相当するかを計算した数字は43日分で、世界的な経済危機がはじまった2008年に記録した56日分以来最大の在庫日数となった。実数にすると4月の終わりには36万6500台の在庫があった。内訳を見ると、販売代理店に25万4800台、工場に11万1620台の車が眠っていたという。
また、4月の自動車販売数は25万7800台で、製造台数は26万800台。全国自動車工業会(Anfavea)によると、販売数は3月比14・2%、製造数も同15・5%のダウンになるという。また、1月から4月にかけての自動車の総生産台数は99万8900台で、これも11年の同時期に比べ10・1%減少。同時期の販売台数の107万6千台も昨年同期比3・4%のダウンとなる。
この事態を受け、既にいくつかの自動車大手が対策に乗り出している。ベチム金属労組のジョアン・アウヴェス・デ・アルメイダ会長によると、フィアット社の工場では来週より2千人の労働者が10日間の集団休暇に入るといい、またフィアット車の部品を製造するテクシッド社の工場でも、7日から600人の労働者が休暇に入ったという。また、サンカエタノ金属労組のアパレシード・イナシオ・ダ・シウヴァ会長は、「ABCパウリスタのフィアットとGMの工場が5月の土曜の特別出勤を取りやめた」とも語っている。
だが、こうした事態に対し、Anfaveaのクレドルヴィーノ・ベリーニ会長は、4月の販売不振は聖週間などで営業日が少なかったからで、「5月からは確実に回復に転じるはずだ」と楽観的な見解を示している。同会長は、全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)が今年の販売目標を2〜3・5%の成長に下方修正した中、年始に掲げた4〜5%の成長目標の姿勢を変えていない。
ベリーニ会長の自信の根拠となっているのは、銀行によって発表されたばかりの貸付金利の低下で、これが政府の雇用プランや給与の増大と相乗効果をあげ、自動車の販売を促進するであろうと見ている。
だが、金利が低下したとしても分割払いの不履行の問題は改善されないであろうと予測され、銀行の金利低下を市場の活性策として疑問視する向きも多い。自動車業界の減産は1〜3月の工業生産にも大きく響き、全体で3%の低下を招いた。