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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年5月9日付け

 仕事終わりはセルベージャではなく熱燗が飲みたくなる季節。日本から着いたばかりの本紙研修生が「ブラジルって寒いんですね…」とつぶやくのも恒例だ。本格的な冬到来を前に、少々気持ちが温まる言葉を4月の紙面から▼日系3人目の陸軍将官となった岡村アンジェロ少将。日伯両語の名前を持つ人は多いが安次男とあてる。命名した父清巳さんは外交官か軍人にと願っていたという。すでに駐スペインブラジル大使館の武官を務めたことから「父の夢を両方果たすことができた」▼モジであった秋祭り。金融危機や震災でやむなく帰国したデカセギらを温かく迎える気持ちを込め、テーマは『お帰りなさい』。現地に住む鶴我博文さんは目を細め、「一世の発想にはない。祭りはモジ市民のものになった」▼アマゾン県連とも言える「北伯県人会協会」が発足した。高齢化が進み、事務方を一本化するのがきっかけだが活性化の兆しと見たい。本家県連も歓迎の意を示す。腕まくりする山本陽三会長「今が設立最後のチャンス。県人会を二世に引き継ぐのが最後の仕事」▼読売新聞が主催する「医療功労賞」に選ばれた援協の菊地義治会長。天皇皇后両陛下と約1時間も歓談する栄誉に浴した。「コロニアの皆さんによろしく」との伝言が見出しに躍ったが、次のお言葉を心に留めたい。「デカセギの子供が両語を覚え両国親善に寄与する人材になってもらいたい」。つまりはコロニアへの願いでもある▼祖国の天変地異や迷走する政界に心が塞ぎ、寒風吹くニュースも続くが、これからも読者に希望と温もりを伝えるコロニアの一言一句を拾い上げていきたい。(剛)