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ブラジル京都会=創立60周年、ひそやかに=資金、人材面で運営厳しく=日本祭参加も「人手ない」

ニッケイ新聞 2012年5月11日付け

 ブラジル京都会(杉山エレーナ会長)は先月29日、「第8回定期総会」ならびに「創立60周年祝賀会」をサンパウロ市内ホテルで行なった。出席者(総会12人、祝賀会約20人)はわずかばかり。会収入の半分を占める日本祭りに今年も参加を決めたが、深刻な人手不足が大きな課題となっている。任意団体だった京都クラブ(62年発足)時代からの会員、横井川照一さん(90、京都市上京区)は「会はあってないようなもの。まとめてくれる杉山さんには、とても感謝しているが、やはり淋しい状態」と声を落とした。

 「名簿に名前がある100人くらいには手紙を送ったのですが…」。祝賀会後の取材にそうつぶやく杉山会長は、03年から活動に参画。
 05年の法人化、県連加盟、55周年時の府知事招聘など尽力した。09年にいったん退任したが、後を継いだ中野義雄氏が任期半ばで身を引いたため、昨年4月から再度会長となった。
 会員は京都出身者に限らず京都に興味があり、縁がある人など幅広く門戸を開く。名簿には40数人の県費研修生・留学生OBがいるが「集まりには5、6人が来る程度」。今回は連休中だったこともあり、参加者は一人のみだった。
 近年若者が集まらない原因として、杉山会長は「留学生、研修生制度が打ち切られたことが大きい」と表情を曇らせる。
 資金面でも運営は厳しい。同会は母県から一切支援を受けておらず、昨年の会費納入者は13人に留まる。「払ってもメリットはなく、強制的に集めることはできない」(杉山会長)
 総会では県連の日本祭りに参加するか否かが議題となった。販売する「みたらし団子」は炭火で焼くため評判がよく、昨年は2100個を売り上げた。会計報告では昨年度収支1万8132・72レが承認されたが、その半分が同祭での収入だった。
 作業には手間がかかり人材集めにも苦労する。しかし、参加しなければ主な収入源を失うことになる。頭が痛い問題だ。
 杉山会長の夫、重光さんは「30人は確保しないと無理。正直に言えば出ない方が楽だが、続けることが大事」と話す。
 昨年は作業に当たった人の半数が会関係者ではなく、役員の友人らが手伝った。「会でちょっと問題があって…若い人に声がかけられなかったが、今年こそは手紙で呼びかけたい」と杉山会長は協力に期待を寄せる。
 「喜ばれるし、本当はやりたい」と話すのは前副会長の大野宏江さん。「婦人部や青年部がしっかりしていたら何でもできるんですが…」とため息をついた。