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「デカセギの母国見たい」=地域問題研究所 宮原知沙さん

ニッケイ新聞 2012年5月15日付け

 「在日ブラジル人の母国を訪れ、彼らの性質や生活様式などを知りたい」—。そう好奇心を覗かせたのは、愛知県名古屋市にある「地域問題研究所」(社団法人)の副主任研究員、宮原知沙さん(29、三重)だ。
 地域に根ざすシンクタンクとして総合的な地域計画、産業振興、行政経営・自治体改革など様々な分野を専門に、主に自治体などに向けて調査研究や計画の策定などを行う同所。
 宮原さんは昨年1年間、岐阜県大垣市の「多文化共生推進計画」の策定にかかわり、愛知県豊田市や安城市ではアンケート調査等を行った。豊田市は計画の見直しを図り、安城市は今年初めて計画作りに着手するという。
 業務を通して「計画を作るだけではなく、どう実行するかが重要。日本人すら住みにくい社会になって生活にも余裕がない中で、外国人の問題に真剣に取り組もうとしているところは少ない」と印象を語る。
 また「日本では、依然として外国人はよくわからない人。国際交流という枠から出ることがない」との問題意識も。
 同所では研究員がそれぞれテーマを決めて研修を行う制度があり、研修先としてブラジルを選択。冒頭のような思いを抱き、ブラジルの地を踏んだ。
 サンパウロ市では観光のほかCIATEの二宮正人理事長、三重県人会の前田ネルソン会長などと歓談。パラナ州、イグアスなども訪問し、2週間ほど滞在する予定だ。
 「計画作りのため、デカセギにどのようにアプローチするかが課題。彼らの労働力の存在に助けられている中小企業を巻き込むなど、方策を考えたい」と帰国後の活動に意欲を見せた。