ニッケイ新聞 2012年5月15日付け
「前向きの笑顔が信条初鏡」。あるぜんちな丸第12航の着伯50年の集いに参加した、三宅昭子さんの一句だ。
「これをモットーにしている」という三宅さんだが、トメアスーで積み重ねてきた50年を経て生み出された作品だ。多くの困難を経験したからこそ、説得力がある。
戦前から移住者がいたが、入植したところは車の数も少なく、道路もできていない状態だったという。野菜不足で、野草を取ったりパパイアの皮を調理して食べたりする生活だった。
近しい人を3人も亡くし絶望の淵に立たされたに違いない。しかしそれに負けることなく、「死にたくなったけど、皆が耐えているのだから」と、キリスト教にも助けられ、苦しみを乗り越えた。
「なつかしき同航の友五月晴れ」。三宅さんだけでなく、記念撮影で見せた参加者全員の笑顔が印象に残った。(詩)