サンパウロ市地下鉄=3号線で追突事故発生=50人超す負傷者が出る=20分以上アナウンスもなし
ニッケイ新聞 2012年5月17日付け
サンパウロ市東部の地下鉄ペーニャ〜カロン駅間で、16日朝9時50分頃、セントロに向かう列車の追突事故が起き、50人を超す負傷者が出たと同日付各紙サイトが報じた。全国5市で地下鉄ストが行われている中、サンパウロ市はストを免れたと安堵したのも束の間の事故だ。
事故が起きた時間帯はピーク時を少し過ぎていたため、足の踏み場もないという状態ではなかったようだが、通常なら安全装置が働き、衝突には至らないはずの地下鉄で起きた追突事故は、ここ数年急速に故障が増えていたが、遂に事故に、という思いを抱かせる。
3号線は、事故が起きる前から動いては止まるを繰り返したりして減速運転状態だったが、それでも追突の際の衝撃は大きく、乗客の多くが床に投げ出されたりした。
事故が起きた電車の乗客の証言によると、多くの人がパニック状態に陥り、怪我の痛みやショックで泣き出したりした人も大勢いたという。
また、事故から20分以上経っても、何が起きたのか、どうすればよいのかを知らせるアナウンスはなく、絶望した人々は非常ボタンを押し、窓ガラスを外して外に出たという。
現場付近は、セントロと東部を結ぶラジアル・レステと地下鉄が並行して走っており、現場に駆けつけた警察や消防は、ラジアルの車線を閉鎖して負傷者に対処。地下鉄の医療班も加わって車両内にいた負傷者達を救出し、ラジアルに停車している救急車に乗せて病院に運んだという。
一方、車両から出た乗客達が、ペーニャとカロンの両駅に向かって徒歩で移動する様子は、サイトにも掲載された。
地下鉄そのものは、タツアペ〜バラ・フンダ駅間の折返し運転となったため、タツアペより東の駅に行くはずだった人達は、ラジアルを走るバスで搬送。パウリスタ都電公社(CPTM)も、タツアペとイタケーラでの乗換え客を無料で受け入れた。
事故の原因は調査中だが、16日午後2時半の報道では、事故車両は午後1時頃には撤去され、線路の点検も終了。
この事故の影響で地下鉄1号線(青)と2号線(緑)も減速運転となったが、2号線は午後2時前に、1号線も3時過ぎには正常運転に戻った。4時過ぎには3号線も正常化と報じられた。
サンパウロ市の鉄道網は、ピーク時の乗客が1平米あたり6人という快適基準を超える過密状態で、3号線はその最たる路線の一つ。ここ数年は、地下鉄、CPTM共に、様々な故障、事故が頻発しており、輸送能力の向上と共に、保守、近代化が叫ばれているところだ。