ニッケイ新聞 2012年5月17日付け
ジウマ大統領が15日、公の場ではじめてヤジを飛ばされる一幕があった。16日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領は15日、ブラジリアで行われたフォーラム「第9回マルシャ—地方自治を守る」で30分以上にわたる演説を行い、州や市との協力の大切さや経済危機などについて話したあと、話を締めくくろうとした際、フォーラムに参加していた市長らの「ロイヤルティ!」というヤジに話を遮られた。
大統領はこれに対し、「私がこれから言うことは皆さんの気に召さないかもしれません。ロイヤルティの分配を過去の状態に引き戻すことはできません。前向きに解決するために皆さんも戦ってください」と返した。
演説への反応はヤジと賞賛の入り混じったものとなったが、ジウマ大統領は憮然としたまま演説を終えた後、全国市町村連盟(CNM)のパウロ・ジウルコスキ会長につめより、人差し指を立てながら早口でまくしたてた。ジウルコスキ会長は開会の演説で、全国の市長と連邦政府の関係は協力よりむしろ駆り立てで、大統領のいう保育所建設も市の財政負担を重くするだけだと、政府批判を行っていた。
また、ヤジのもととなった「ロイヤルティ」とは、現在議会で審議中の石油に関する新たなロイヤルティ分配のことを指す。新分配案は、これから採掘する油田だけではなく、既に採掘中の油田も対象とするもので、大半の市長は賛成しているが、大生産地のリオデジャネイロ州やエスピリト・サント州などは反対している。
ジウマ大統領は、国際的な経済問題に触れた際、金利についても言及し、金利問題は市や州だけでなく連邦政府にも影響をもたらしているが、「金利が国際水準まで下がれば、国の経済は必ず成長する」と語った。