ニッケイ新聞 2012年5月18日付け
ブラジルのYOSAKOIソーランが本場札幌と肩を並べ—。毎年7月末にサンパウロ市で開催される「YOSAKOIソーラン大会」で6度もの総合優勝をおさめたグルッポ・サンセイ(ロンドリーナ市)の踊り手40が、来月初旬に北海道札幌市で開催される「YOSAKOIソーラン祭り」に出場する。同グループは当地の大会で5連勝を遂げた2008年に日本から招待を受け初出演、そのレベルの高い迫力の演技に現地の関係者らの賞賛を浴びた。「今回はゲストとしてではなく、競うための出場。それが私たちの夢だった」とリーダーの田中タチアナさん(22、三世)は喜んでいる。
グルッポ・サンセイは主に日系二世・三世のメンバーからなり、母体は同名の慈善文化団体。カラオケ教室、和太鼓や舞踊など様々な日本文化活動を実施するほか、日本人会、学校、福祉施設等でも公演を行なう。
昨年出場を予定していたが、東日本大震災のため取りやめた。同チームはこの間、様々なイベントを開催し費用を貯めてきた。滞在費は現地の関係者も協力するが、ほぼ自力での訪日が実現することに。
タチアナさんは「もう一度日本に行けるのはすごく嬉しい。私たちブラジル人の明るさや陽気さ喜びを、日本の皆さんに見てもらいたい」と張り切る。現在は大会に向け、熱心に練習に励んでいる。「仕事を持った社会人や学生でそれぞれ忙しいが、皆踊りが大好き。厳しい練習も苦にならない」
ブラジルYOSAKOIソーラン協会の飯島秀昭顧問は「札幌では350〜400チームが踊り、その内約200チームがコンクールに参加表明する。グルッポ・サンセイはここではダントツだけど、本場でどの程度通用するのか実力を試してみたらいい。チャレンジするのは素晴らしいこと」とエールを送っている。
多文化交流事業に参加=静岡芸術大が主催
その後、静岡文化芸術大学(浜松市)が主催する多文化共生を目的としたイベント『舞・響・結 よさこい×ソーラン』にも出演する。現在、同大実行委員会が企画を進めており、同月12日に同市で実施される。
同市にあるムンド・デ・アレグリア校、アレグリア・デ・サベール浜松校の日系人生徒らが和太鼓を演奏するほか、同大の日系学生らが日ポ両語で司会を行なうという。
同大の池上重弘教授は、「ブラジルから来る若者、浜松の子ども、学生、二世の大学生たちの姿を一人でも多くの人に観てもらいたい」と両国の日系人らの競演を喜んでいる。