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Xuxaの勇気に続け=まだまだ減らぬ児童虐待=告発は氷山の一角に過ぎず

ニッケイ新聞 2012年5月23日付け

 20日夜のグローボ局の番組で、子供番組の司会で知られるシューシャ(Xuxa)が、13歳まで性的な虐待を受けたと告白し、社会的な反響を呼んでいる。
 22日付伯字紙によれば、大統領府人権擁護局のマリア・ド・ロザリオ長官も、性的虐待の実態を世に知らせ、他の被害者に告発を促すきっかけとなると、その勇気を称えた。米州でも著名な司会者の告白報道後、インターネットのトゥイッターの書込みは24時間で2万9千件を数えた。
 「最初がいつだったかは覚えていないが、酒の匂いがしていたのは覚えている」「加害者の1人は父の親友で私の洗礼親にもなりたがっていた人だったから、父には怖くて言えなかった」「母に言えなかったのは、母の母(祖母)と結婚する相手だったから」「先生からは、周りの人は教師と生徒のどちらの言葉を信用すると思うかと脅された」と続く告白は、人気番組「ファンタスチコ」で流れたものだ。
 13歳という年齢からいくと、時効(16年)は過ぎているため、加害者は懲罰の対象にならないが、児童・青年期に性的な悪戯や虐待を受けた人が、その事実を明かすのは容易ではない。
 「(自分も経験者だから)被害に遭った子供達の気持ちが解る」というシューシャの言葉は、被害者には慰めであり励ましであるはずだが、「気分が悪くなり、自分が汚れているような気持ちや自分が間違っているかの思いに駆られ、恥ずかしくて口を閉ざした」という言葉もまた真実だ。
 性的虐待の実態は表に出にくく、人権擁護局が設けた100番電話を利用したり警察に届け出るのは氷山の一角。心も体も傷ついているのに、誰にも打ち明けられずに泣き寝入りするケースが圧倒的に多く、被害者の年齢や社会階層などには関係なく起きる犯罪の一つが性的虐待だ。
 経済活性化計画(PAC)の工事現場周辺や高速道沿いなどは売買春を含む性的犯罪が多発、加害者は親や親戚などの近親者が多いといった特徴は不変で、ロンドニア州では2007〜10年の性的虐待数が18%増加など、増加を食い止めるための決定策もない。
 人権問題の専門家は、被害者達の告発を積み上げ、実態を社会に知らせる事が最も効果的な防止策にもなるという。告白に先立つ18日は、1973年に起きた、8歳女児に薬物を飲ませた後に強姦、遺体を焼き捨てるという事件後に制定された『青少年への性的虐待撲滅の日』で、ジウマ大統領が、被害時の年齢ではなく、被害者が18歳になった時から16年を時効とするジョアナ・マラニョン法を裁可した。