ニッケイ新聞 2012年5月23日付け
琉球民謡保存会ブラジル支部(米須正支部長)による『第18回民謡大会』が20日、沖縄県人会館で開催され、約350人が故郷の音色に耳を傾けた。グランプリに輝いたのは一般の部・金城ゆかりさん(17、四世)、高齢者の部・諸見里真栄さん(70、二世)。二人は今年8月に沖縄で開催される『民謡の祭典』にブラジル代表として出場する。
年齢、レベル別の9カテゴリーに分けられた63人が出場。それぞれがおよそ3分のステージを力いっぱい歌いきった。
12歳までの児童が出場した「ちびっこの部」では、会場全体が見守るように手拍子で応援。優しい笑顔があちこちで見られた。
過去の同大会でグランプリを獲得した経験もある国吉涼子さん(75)は「今の子どもは小さな時から民謡と三線を一緒に学ぶ。沖縄を知らない三、四世が方言で歌うのは本当に素晴らしい」と目を細めていた。
7つ目のカテゴリーとなる「最高・一般の部」が終わると、いよいよ沖縄での大会出場をかけたグランプリの部の発表。高齢者の部は7人、一般の部は5人が出場した。
高齢者の部は、審査員による採点で同点という椿事が発生。話し合いの結果、高江洲義盛さん(87)が辞退する形で諸見里さんの優勝が決まった。
一般の部で見事初優勝を果たした金城さんは、あどけなさの残る17歳で大会史上最年少の快挙。結果が発表された瞬間、友人とともに歓声を上げ飛び跳ねていた。民謡歴は5年だが、今回を含む出場した4大会全てで賞を獲得する若手のホープだ。
諸見里さんは「夢のよう。民謡を始めて10年、今日まで続けてきて良かった。高江洲さんの分まで精一杯頑張りたい」と万感の表情で喜びを語り、金城さんは「沖縄に行くのは2回目だけど前回は旅行。今回は気持ちを新たにして臨みたい。8月までたくさん練習する」と闘志満々の様子を見せた。
熱戦を見届けた米須会長は「出場した全員が熱意を持って練習してきたことがわかる、非常にレベルの高い大会だった。グランプリの二人には、ブラジル代表としての誇りを持って沖縄に行って欲しい」とエールを送った。
コンクールの結果は次の通り。【新人・高齢者の部】伊波政忠、【優秀・高齢者の部】比嘉シゲ子、【最高・高齢者の部】宮城洋子、【新人・一般の部】西川アウバロ、【優秀・一般の部】仲村アレシャンドレ、【最高・一般の部】大城ブルーナ、【グランプリ・高齢者の部】諸見里真栄、【グランプリ・一般の部】金城ゆかり。(各部門1位、敬称略)