ニッケイ新聞 2012年5月24日付け
サンパウロ市地下鉄とパウリスタ都電公社(CPTM)の同時ストで、23日のサンパウロ市内は大混乱に陥り、同日朝10時現在の交通渋滞は、249キロの新記録となったと同日付各紙サイトが報じた。
サンパウロ市地下鉄が23日にスト入りする事は、22日夜の総会で決定されたが、ラッシュ時には100%、その他の時間帯も85%の運行確保との労働裁判所の命令は完全に無視。CPTMのストも重なり、370万人以上に影響がでたようだ。
地下鉄ストは賃上げを巡る22日の労使交渉が決裂した結果で、同日夜の総会では4号線(黄)を除く全線で運行停止と決まった。
実際には5号線(紫)は5時10分から全線が動いたが、1〜3号線はルス〜アナ・ローザ間、アナ・ローザ〜クリニカス間、ブレッセル・モオッカ〜サンタセシリア間を除いた全線で運行が停止された。
CPTMは、ルス〜モジ・ダス・クルーゼス間の11号線とブラス〜カウモン・ヴィアナ間の12号線、エクスプレッソ・レステが止まった。
地下鉄とCPTMのストの影響が最も大きいサンパウロ市東部では、イタケーラ駅前で、立腹した通勤客らがラジアル・レステの通行を止め、バスのタイヤをパンクさせたりする抗議行動を起こし、軍警の特殊部隊が催涙ガス弾などを使用。ジャバクアラでも、閉鎖された扉の前で新聞が燃やされた。
イタケーラのような混乱は限られていたが、市内全域は、仕事や学校に向かう人の自家用車や、地下鉄の駅で連結できないためセントロまで延長運転するバスも含めて、通常をはるかに上回る渋滞が発生。鉄道が使えない通勤客らはバスに殺到したため、満員となってバス停を通過するバスも多く、バスに乗れない乗客がバス停に溢れた。
地下鉄労組の要求は実質14・99%、インフレ分の5・37%を上乗せすると20%の調整というもので、公社側の実質1・5%にインフレ分4・15%との回答との隔たりは大きい。食券代25レアル、食費手当て280レアルとの要求に対しても、公社側は21レアルに158レアルの回答で、労裁が23日に再調停を行った。
23日16時半現在のサイト情報では、労組の代表は公社側が上限とした6・17%の調整の線を23日午後の総会にかけ、組合もこの数字を受け入れた。この時点で地下鉄のストは中止され、運行を徐々に再開した。一方、CPTMは17時からの労裁での調停待ちのため、16時半現在では、24日もスト継続か否かは不明。
全国では7州都で地下鉄やバスなどの交通機関のスト決行中で、14日に始まったペルナンブコ州レシフェとミナス州ベロ・オリゾンテの地下鉄ストは14日から始まったが、23日も継続中。ベロのストは、労裁の規定を守り、ラッシュ時は通常通り動いている。バイア州サルバドールではバスのストで100万人以上に影響が出ている。