ニッケイ新聞 2012年5月25日付け
アフリカのアンゴラからの女子留学生がサンパウロ市セントロで射殺され、友人のアンゴラ人3人も重軽傷を負った。24日付伯字紙が報じている。
大学院生のズミラ・デ・ソウザ・ボルジェス・カルドーゾさん(26)は22日夜、サンパウロ市ブラス区カヴァレイロ通り80番地のバールで、アンゴラ人の友人たちとレノヴァルド・マノエル・カペンダさん(32)の誕生日を祝っていた。
その時、バールにいた別のアンゴラ人たちとブラジル人たちが口論をはじめた。ブラジル人たちは「アンゴラから来た猿どもめ」と罵倒した後、立ち去ったが、そのうちのひとりが車で戻ってきて、店の前にいたズミラさんたちに向かって発砲した。
ズミラさんは頭に銃弾を受けて即死した。レノヴァルドさんとズミラさんの恋人のガスパール・アルマンド・マテウス(27)さんはそれぞれ足を撃たれて負傷。妊娠8カ月のセリーナ・ベント・メンドンサさん(34)は、腹部1発を含め少なくとも2発被弾したが、胎児共々、命に別状はなかった。軍警が現場にかけつけたが、犯人逮捕には至らなかった。
同地区はアンゴラ人の多い地域で、事件当時も40人ほどのアンゴラ人が周囲にいた。そのひとりは「『猿』と罵倒された人々は皆いきり立ったが、誰も武装してなかった」と述べている。
ズミラさんは5年前来伯し、工学部を卒業。一度帰国したが再来伯し、大学院で貿易を学んでいた。親戚によると、アンゴラの家族に衣服を送るのを欠かさなかったといい、7月に帰国するための航空券も買っていた。
アンゴラ領事館のベルミロ・ドス・プラゼレス・ギマランエス副領事は「正義の名にかけて事件の真相究明につとめたい」と語った。サンパウロ市には現在3千人のアンゴラ人が居住している。