ニッケイ新聞 2012年5月25日付け
質問=何人か子供がいるのですが、一人の子供だけに遺産を相続したいと思います。他の子供は自分の面倒を見てくれなかったので相続したくないのですが、どういう方法がありますか。
回答=法律では、親の面倒を見た見ないにかかわらず、子供であるというだけで相続する権利があります。親孝行したか、しなかったかなどは関係ないのです。
遺書に「一人だけに相続する」と書いても、他の子供が承認したというサインがなければ無効です。
どうしても相続したくなければ他の子供を勘当し、親子の縁を切るしかありませんが、それにはしかるべき理由が必要です。
例えば親に暴力を振るおうとした、激しい言葉で罵ったなど、そういう行為があったという証拠(証人でも可)があれば、裁判所に申請すれば勘当することが認められる可能性があります。必ずしも弁護士が入る必要はありませんが、実際は入ることが多いと思います。
ただし、その証人は他人であるべきでしょう。兄弟であれば怪しまれます。
また、親に対する暴力を理由にする場合、例えば親が子供に暴力を振るおうとして子供が正当防衛でそれに対抗した結果だった場合は、勘当する理由にはなりません。
勘当できる理由としてはその他、例えば自分の再婚相手で、子供の義理の親に当たる人物と子供が性的関係を結んだ場合、精神病患者や身体障害者の親の面倒を子供が見ない場合などが挙げられます。
また、遺言状を作った後、親子の絶縁に発展しうるトラブルがあり勘当することになった場合は、その遺言状を無効にできます。
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質問=アパートに住んでいます。上の階から水が漏れてきて、テラスがいつも汚れたり濡れたりしています。どこから落ちてくるのかわからないのですが、どうすればよいでしょうか。
回答=Sindico(管理人)に調べてもらうことが先決です。Sindicoにはその義務があります。
調べてもらった結果、その原因が、例えば全部屋に水を供給するcaixa de agua(貯水槽)などアパートの共有物(condominio)だった場合、住人一人ひとりが支払う共益費から修理代が出ることになります。
しかし原因がSindico個人の過失だった場合、共益費から修理代が支払われ、sindico自身も損害賠償を支払うことになります。
または、ある住人の不注意だった場合、彼の責任になりますので、彼から損害賠償を取り立てる権利があります。
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質問=75歳以上の夫婦です。持ち家を売って、息子や娘のいる日本で生活したいと思います。家を売った金額を、日本での今後の生活としてブラジルから持ち出したいと思いますが、どういう手続きが必要でしょうか。
回答=Banco Central(中央銀行)を通じて、税金(ganho de capital)として売り上げ利益の15%を納めることで可能です。
質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP, CEP 01506-000)まで。質問は日本語でもポ語でも可、ただしメールの場合はポ語のみ。質問内容をできるだけ明確にしてお寄せください。