ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | メンサロン事件=ルーラが裁判延期強制か=判事に交換条件たきつけ=野党側は検察に調査を依頼

メンサロン事件=ルーラが裁判延期強制か=判事に交換条件たきつけ=野党側は検察に調査を依頼

ニッケイ新聞 2012年5月30日付け

 ルーラ前大統領がジルマル・メンデス最高裁(STF)判事にメンサロン事件の裁判の延期を迫ったとの報道に、前大統領は事実無根と憤慨、野党側は前大統領の調査を求めている。29日付伯字紙が報じている。
 26日発売のヴェージャ誌にメンデス氏が語ったところによると、前大統領は8月に予定されているメンサロン事件の裁判を10月の選挙が終わるまで延期するよう求め、見返りにカショエイラ事件の議会調査委員会(CPI)が、メンデス氏と同事件の被告であるデモステネス・トーレス上院議員(ゴイアス州・無所属)との関係を調査しないよう保証すると申し出たという。
 この記事に対し、ルーラ氏は28日に「事実無根で憤慨している」との声明を発表した。それによると、ルーラ氏は4月26日にブラジリアにあるネルソン・ジョビン元国防相の事務所でメンデス氏と会談を持ったことを認めているが、そこではそのような内容の話は一切していないとし、メンサロン事件についてSTFや検察局に対する妨害をする意図は全くなく、自身が大統領をつとめた8年の任期中も、メンサロン事件に関してSTFを妨害したことはないとした。
 同声明は、アイレス・ブリットSTF長官が、「この件は3人の登場人物がおり、2人は既に事実関係について公的に発言した。3人目の見解が必要だ」と語ったことを受けて出された。
 前大統領とメンデス氏の会談に立ち会ったネルソン・ジョビン氏は、南大河州の新聞ゼロ・オーラ紙が26日に行った取材に、「メンサロン事件に関する会話はなかった」と証言した。一方、メンデス氏も同紙の取材に、自身がヴェージャ誌に語った内容は事実だと改めて主張した。
 これに対し、野党の民主社会党(PSDB)、民主党(DEM)、社会大衆党(PPS)、社会自由党(PSOL)の代表者は28日、連邦検察庁のロベルト・グルゲル特捜局長官に、ルーラ氏の調査を行うよう依頼した。野党側はルーラ氏のCPI召喚も求めたが、与党側に否定された。
 メンデス氏は28日夜マナウスで、ルーラ氏との会話を公表したのは、自分とトーレス上院議員との関係について誤った解釈が流れたり、前大統領が議会や司法の独立性を犯すような行動をとるのを恐れたからだと説明した上、自身の発言は事実だとした。
 セルソ・デ・メロSTF判事はルーラ氏の行為は司法の立場を無視したもので、現職なら弾劾裁判ものだと批判した。なお、STFはメンサロン事件の裁判は予定通り8月に行うとしている。ブリット長官は11月に定年退職を迎えるため、審議を遅らせたくないとの意向もあるようだ。