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通貨政策委員会=7度目の基本金利切下げ=国内外の状況を見極め=遂に過去最低の8・5%=ポウパンサの利率も変更

ニッケイ新聞 2012年6月1日付け

 中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が5月30日、経済基本金利(Selic)を0・5%ポイント切下げ、年8・5%にする事を満場一致で決めたと5月31日付伯字紙が報じた。これにより、貯蓄預金(ポウパンサ)の利息計算用の利率も変更される。

 2011年8月以降、7回連続となる基本金利切下げは、5月初めに貯蓄預金の利息計算方法が変更された時点で予想されていたもので、下げ幅も大半の市場関係者が考えていた通りの0・5%ポイントとなった。
 今回の金利切下げは欧州経済の状況悪化や国内経済の回復の遅れなどを考慮したもので、1986年の導入以来最低だった2009年7月の8・75%を下回った。
 また、30日の会見の内容からは、昨年8月からの金利縮小サイクルがまだ続く事が予想され、7月10、11日の委員会で0・5%ポイント、8月28、29日の委員会でも0・25%ポイント切下げと予想する関係者も出ている状態だ。
 経済基本金利は従来、インフレ抑制を第一義とし、1999年の変動相場制移行でドルが急騰した時は年45%を記録。2003年初頭には、前年の大統領選でルーラ氏当選後、経済政策が変わる事を恐れて上昇したインフレ抑制のため、年26・5%まで引き上げられた。
 そういう意味で、基本金利の役割が変わったのが、2008年のリーマンショックを発端とする国際的な金融危機後の景気促進のための金利切下げで、09年には初めての1桁金利となった後、貯蓄預金の固定利息を維持するためには限界となる8・75%という低金利も記録した。
 この低金利は、景気回復のために2010年初めまで維持されたが、景気回復と共に、インフレ再燃で金利も上昇。11年6月には12・25%まで引き上げられた。
 11年8月の基本金利の切下げは、欧州発の経済危機を受けてブラジル経済が冷え込み始めた事を察知した中銀が英断を下したもので、市場関係者の中でも時期尚早との見方があったが、実際にはその後も経済の回復は思わしくなく、遂に貯蓄預金の利息計算方法を変更する事態も生じたというのが実情だ。
 インフレ率は政府目標の4・5%以上だが、国内外の動向から見たインフレ圧力は弱い中、経済界で今年の経済成長率は3%以下との予想が強まり、工業生産はマイナス成長といった報道が続き、景気回復のための金利切下げは必至だった。
 5月3日に発表された貯蓄預金の利息計算法は、基本金利が8・5%以下となった場合の利息は基本金利の70%+参考金利(TR)とするというもので、基本金利が8・5%となった今、新しく預け入れた貯蓄預金の利息は、従来の月0・72%が月0・68%、年率では5・91%に目減りする。