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講演会「SC州の牡蠣」=日本との協力関係を強調=品質に胸を張るルッピ氏

ニッケイ新聞 2012年6月6日付け

 サンタ・カタリーナ州で盛んな牡蠣の養殖や同州の産業に関する講演会が先月30日、広島県人会館で開かれ、日系団体代表やレストラン経営者、企業家など約60人が参加した。
 講演者は同州農牧研究普及公社(EPAGRI)研究員のギリェルミ・サビーノ・ルッピ氏。平崎靖之氏(サンスイ社社長補佐、広島県人会理事)が調整役を務め、水産省の佐波内ルイス戦略・制度関係部長も姿を見せた。
 ルッピ氏は2005年にJICAのプログラムで訪日して広島、山口、福岡などに3カ月滞在し、下関市の「水産大学校」でも研究を行った経験がある。
 サンタ・カタリーナ州ではその冷涼な気候を生かし、国内で消費される牡蠣の95%を生産している。
 ルッピ氏は「衛生管理システムを徹底しているため安心で、高品質の牡蠣の養殖が実現している。広島の牡蠣にも劣らない味」と強調した。
 日本の牡蠣が初めて輸入されたのは1975年だ。その後83年にJICAから赤星静雄専門家が派遣され、日本の養殖技術を導入。赤星氏はのちにチリにも派遣され、南米各国への技術普及に尽力した。
 サンタ・カタリーナ州には87年に導入され、EPAGRIとサンタ・カタリーナ連邦大学が共同で研究を開始。その後90年代にJICAが講習を実施した経緯に触れ、ルッピ氏は「JICAとEPAGRIの協力関係で現在の実績がある」と説明した。
 また、現在EPAGRIは日本の梨の生産にも力を入れているという。フレイ・ロジェーリオ市の20ヘクタールの土地で、年間100トンが栽培されている。
 講演終了後は「気候は牡蠣養殖に影響するか」「味の悪い牡蠣は腐っているからか、海の汚染が原因か」などさまざまな質問があり、関心の高さをうかがわせた。
 昨年から調整を行っていたという平崎氏は「ようやく実現した」と満足そうにのべ、「よく食べているが牡蠣の養殖についてはあまり知られていないので、良い機会になったのでは」と話していた。
 最後に、ルッピ氏に対し講演会を共催した4団体から記念のプレート、ポ語版の移民100年史などが贈呈され、参加者は振舞われた牡蠣に舌鼓を打った。