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目標前進ほとんど見られず=国連環境計画が発表=リオ+20を前に警鐘=まだまだ低い国民の意識

ニッケイ新聞 2012年6月9日付け

 「国連持続可能な開発会議(リオ+20)を前に、国連環境計画(UNEP)が6日、過去40年間に成立した各種の目標90の進捗状況を分析した結果、それなりの成果が出た目標は四つに過ぎなかった報告したと7日付伯字紙が報じた。

 ケニアのナイロビに本部のあるUNEPは開発途上国に本部を置いた最初の国連機関で、環境に関する諸活動の総合的な調整と、新たな問題に対する国際的協力を推進する事を目的としている。
 管理する条約は、移動性野生動物種の保全に関する条約やオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書、生物の多様性に関する条約、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約などで、アジア太平洋、西アジア、ラテンアメリカ・カリブ、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカの6カ所に地域事務所がある。
 6日に発表されたのは第5次報告書で、2007年の第4時報告書発表後、300人を超す専門家が600人以上の知見を結集し、地球環境問題を起こしている原因や現状、傾向を分析・評価、その対応策までを2年半かけてまとめ上げた。
 代表のアッヘム・シュタイナー事務局長は、気候変動や生物多様性の急速な減少、水不足の懸念拡大などを盛り込んだ報告書の内容が、リオ+20に出席する世界180カ国の代表に事態の深刻さを知らしめ、合意書作成までの決断の一つ一つに影響を及ぼしてくれればと期待している。
 事態の深刻さをいう場合、90の目標の内、ある程度の成果が見られたのは、オゾン層を破壊する物質の生産停止、燃料に含まれる鉛の除去、上水道整備などに見る飲用水摂取のあり方の改善、海洋汚染のための調査拡大の4点のみ。
 漁獲量の確保のための取組みや、砂漠化や干ばつ、気候変動の抑制などの24項目はほとんど変化がなく、多少は前進が40項目、さんご礁が1980年以降38%減少のように、悪化した項目も八つある。
 ブラジルの場合、法定アマゾンの森林伐採面積が減少しているなどの肯定的な報道もある一方、リオ+20開催を知っている人は5人に1人で、持続可能な開発という考え方を知らない人が55%、持続可能な消費となると66%が知らないとの統計が出るなど、啓蒙活動不足は歴然。環境問題として知っているのは、森林伐採67%、川や湖の汚染47%、大気汚染36%、ゴミの量28%、水の無駄使い10%などとなっているが、ゴミは分別という人は48%など、参加意識も低い。
 先進国による資金や技術支援の見通しが不透明な事に開発途上国が反発し、グリーン経済への移行のための行程表がリオ+20の合意案から消えたとの報道もある中、UNEPの報告書などで事態の深刻さが見直され、具体的目標を盛り込んだ合意書作成に進んで欲しいものだ。