ニッケイ新聞 2012年6月12日付け
負債を抱える家庭は約半数、借金が今年の経済成長を妨げるなどの報道が続く中、2230万人に及ぶ第3世代(高齢者)は全体で4千億レアルを動かす力を持っており、家計の収支管理も健全と10日付フォーリャ紙が報じた。
総人口の12%弱、成人人口では14%といわれる第3世代。その購買力はアイルランドの国内総生産に当たる4023億レアルで5年前より45%増えたのに、市場の対応が遅れ、対応の仕方も誤りがあるという。
10日付フォーリャ紙での〃第3世代〃は、60歳以上をさす言葉として使われており、その総数は2230万人。内、540万人は正規、非正規を問わず、自分の手で金を稼ぎだす現役の労働力でもある。
言葉を変えれば、第3世代に属する人々の収入の73・5%は、国立社会保険院(INSS)から受け取る年金やペンソンといった安定したもので、給与収入などに頼る部分は20%程度。収入が安定している分、ローンなどの利用の際も、若い人のように失業による収入減で負債の返済に窮する事も少ない。
ところが、これほど安定した収入を得、突然の支出も起こりにくい第3世代の人々の好みや必要に応じた品揃えや対応を心がける商店などは、ほんの一握りで、説明書の文字が小さい、売り場が奥まっているなどのミスで営業チャンスを逃す例さえあるという。
ブラジルでも少子高齢化が進む中、子育てが終わった第3世代は、収入が支出を約7%上回るという唯一の健全な家計管理層で、それ以外の年代の場合は、収支がとんとんまたは支出が収入を上回る状態だという。
こういった状況を先取りして第3世代の顧客を捉えている例は、マガジネ・ルイザで、600万人に及ぶ顧客の13%が60歳以上。年5回以上買い物をし、その総額が2千レアルを超える〃クリエンテス・オウロ〃の場合、60歳以上の顧客が4人に1人の割りを占めるという。
携帯電話やコンピューターも使いこなし、時間やお金の使い方にもゆとりが持てる同世代の人々は、ゆっくりと買い物を楽しむ他、語学研修を含む国内外の旅行や社交ダンスなどの交わりの場を求めるなど、生活形態も変化。ゆとりを反映し、白髪染めや洗濯用の液体洗剤、豆乳飲料など、基礎生活用品以外の品を求める人も多いという。
44・5%を占める男性の総収入は2298億レアル、55・5%を占める女性の総収入は1725億レアルとされ、食費や健康維持、レジャーに使えるお金を安定した形で手にする人の70・4%は中流階級。高所得層も17・8%おり、低所得者は11・8%のみという第3世代は、白髪で杖をつくというイメージからも程遠い人が多いのに、商店やホテル、レジャー業界などが実態についていってないと、関係者達が嘆息している。