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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年6月12日付け

 大飯原発3、4号機がやっと稼動する。あの津波による福島の事故を契機として菅前首相が「脱原発」に踏み切り、日本中に反原発の動きが広がったのはご承知の通りである。確かに、あの東日本大震災の津波被害は大きい。福島原発の東京電力でも、予測を遥かに超える津波であり、波の1番高いところでは、30メートルをも超えるほど酷いものだった▼だが、こうした規模のものは、1千年に一回あるかどうかのものであり、経営者の東京電力にすべての責任を負わせるのには、ちょっと無理があることも否定できない。勿論、一万年に一度であっても、経営者の責任はある。しかも、日本の電力に占める原発の割合は30%を超えるほどだったし、もし「脱原発」になれば、即座に電力不足に陥り、工場の生産や家庭の暮らしはお手上げである▼事実、この脱原発の影響で電力会社は火力発電に切り替えたが、これにはガスなどの燃料を購入しなければならないし、大きな赤字経営になっている。それでも、関西地方の電力不足は避けられず節電を呼びかけ、東電も料金の値上げを求め大きな政治課題になっている。野田首相は、所謂—「脱原発」には反対であり、暫くは原発も認め、将来的には廃止に進むとしている▼そんな状況下での大飯原発再稼動であり、この意義は重い。福井県の専門委員会も「安全性を確認」したとし、西川一誠知事に報告し、首相もこの16日には「再稼動」を決める方針も決まったの報道もあるし、こうした一連の流れを高く評価し、これを踏まえて新しいエネルギー政策を立ち上げて欲しい。(遯)