ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | イザベラ環境相が政府擁護=環境運動家の批判一掃=近視眼的になるなと警告=今日からのリオ+20前に

イザベラ環境相が政府擁護=環境運動家の批判一掃=近視眼的になるなと警告=今日からのリオ+20前に

ニッケイ新聞 2012年6月13日付け

 きょうからはじまる〃「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」を前に、イザベラ・テイシェイラ環境相は11日、社会環境家たちの政府の環境対策への批判を「近視眼的だ」とし、工業製品税(IPI)の引下げなどによる政府の消費活性策を擁護した。12日付エスタード紙が報じている。

 〃リオ+20〃は各国首脳も参加する20〜23日の会合が中心だが、13〜15日は準備委員会の会合、16〜19日の持続可能性についての対話集会もあり、本日午後6時半には歓迎レセプションも開催される。
 イザベラ環境相が政府を擁護する発言を行ったのは、11日に開かれた「持続可能なブラジル—全てへの道」と題するセミナー。「〃リオ+20〃は環境保全や原則規定、技術や科学的な情報へのアクセスなどについて話し合う場。思慮の浅い環境問題の告発はやめるべきだ」とし、政治や経済の問題にも対処すべき政府の立場を無視して騒ぎ立てる環境運動家たちにクギを刺した。
 環境相は、環境運動家が温室効果ガスの発生源となるとして批判しているIPI引下げによる自動車産業活性化対策について、「IPIの問題は経済危機に対処するための一時的な解決策で、地球の将来のためにここ20年に採るべき対策について考える〃リオ+20〃と混同して考えるべきではない」と語った。
 これに対し、非政府団体(NGO)の社会環境研究所のアドリアナ・ラモス所長は、「短期対策と言うが驚くほど頻繁に繰り返される解決策だ。自動車業界自身は決してコストを下げようとしないのに、税金の引き下げを政府に求める。政府が自動車業界に譲歩すればするほど、環境対策も甘くなる」と批判した。
 環境運動家と政府の意見の対立は珍しいことではなく、5月にはジウマ大統領も気候変動に関する会議の席上、法定アマゾン内の水力発電所建設に反対する環境家たちは「幻想の世界を生きている」と批判している。
 環境相は、環境省のブラジル森林サービスの資金の用途と役割が法定アマゾンの森林保護に偏っているのは「見当違い」とし、リオ+20後に検討する意向を示した。
 「リオ+20」にオバマ米大統領やメルケル独首相、キャメロン英首相などの首脳が欠席することについては、「首脳クラスの参加は確かに大切だが、これらの国は経済危機への対応に追われているから参加できないだけで、それなりの重鎮が出席することになっている」とし、批難することはなかった。
 一方、マリーナ・シウヴァ元環境相は11日、リオ+20に並行する会議の一つである「TED×リオ+20」に参加、「私たちは〃過剰消費〃という重病にかかっており、未来をつぶしかねないところまで来ている」と語り、近年の経済危機や、政治的、経済的決断の数々が環境を破壊していると警鐘を鳴らした。