ニッケイ新聞 2012年6月13日付け
「日伯・絆の森」作り=協力の輪広がる=東日本大震災=犠牲者追悼と復興を願って
ブラジル・ニッポン移住者協会(小山昭朗会長)がオイスカ・ブラジル総局(高木ラウール会長)と共催し、サンパウロ市の緑化・環境局が全面支援して実施している「日伯・絆の森」作りへの協力の輪が日系社会のみならずブラジル社会にも大きく広がっている。
この事業は昨年日本の東北部を襲った東日本大震災で失われた多くの犠牲者、約2万人の冥福祈ると共に、一日も早い災害地の復興と自然災害に対する多くの教訓を忘れない為に追悼記念碑を建てることで人々の自然とのあり方を次世代に問いかける事を目的に企画されたものである。ブラジル・ニッポン移住者協会では2003年の戦後移住50周年祭より桜とイッペーの植樹を手始めに、一貫して環境保護活動に邁進して来た。2008年の日本移民百周年には記念事業として全伯の日系団体に呼び掛けて「二十一世紀の森」作りを開始、これまで自然の森作りや森の再生事業に専念して来た。
これまで4年間「日伯・友情の森」作りではサンパウロ州治水電力局の協力を得て、チエテ・エコ公園に4万本の植林を成功させ、既に高さ3メートル以上にもなった森に成長している。
オピニオン=日系として環境にリーダーシップ発揮を
ブラジルのリオデジャネイロで開かれた世界環境会議から20年、この間世界中で何度となく環境保護に関する協議が重ねられて来ていて、多くの国々で沢山の人々により努力が重ねられています。世界の酸素の供給源と言われるアマゾンの広大な森林地帯を有するこのブラジルは世界各国からその保護政策の在り方が注目の的となっています。
何百年の間、人間の為だけに開発という名目で自然破壊が公然と行われてきた結果、今人々は、その代償として、地球の温暖化、気候の変化による様々な弊害を身にしみて感じるようになりました。そしてその影響は人間だけに留まらず、地球上に住むあらゆる生物に及んで来ており、全ての生物が好ましい関係で共存出来る関係さえも破壊しつつあります。こうした状況下で次世代を憂う多くの人々は国や行政だけに任せず個々の範囲で色々な努力をする様になりました。こうした一人一人の努力の積み重ねが最終的に私達の美しい地球を守る結果になるのだろうと確信します。
こうした地球規模の取り組みが真剣に行われている中で、私達も地球上に住む一人の人間として傍観せず、こうした運動に積極的に参加して行きたいものです。特に我々ブラジルの日系人は今でこそ農業のパイオニアとして尊敬されていますが、過去の移民の歴史を振り返ってみた時、初期の日本移民が地方の開拓地に入り、深い森を開拓し、農地を作り、作物を植え、血の出るような努力を重ねて来た結果であり、その陰には、多くの木々が伐採されたという事実もあります。百年の時代を超え、今二、三世時代になり豊かになった我々日系人が、その失われた森を再生する事は先駆者移民たちと大自然への感謝の気持ちを表す事になり、ある意味我々の義務ではないかとさえ思えるのである。そう考えると我々日系人がブラジル社会の中で木を植え、森を再生する活動を中心とする環境保護や環境改善のリーダーシップを持って活動することで、この美しい地球を守っていく事に少しでも貢献出来るのではないかと思います。今回の、リオ+20の開催を機に多くの日系人の環境活動への積極的な参加を期待しています。
「日伯・絆の森」
協会では東日本大震災から一周年となる3月11日を機にこの事業を開始、3月18日には第1回の植樹式を市の緑化・環境局長・ジョージ・エドアルド氏をはじめ各界の来賓も出席して盛大に執り行われた。
その後、この事業を知ったサイクリング・グループ3団体が植樹を手伝いたいとの申し出があり、協会では大歓迎。早速5月12日に第1回の植樹会を実施。更に多くの同好者を集めて去る5月28日にはサイクリスタ50数名が第2回目の植樹会で250本の苗木を植えるという熱心さで関係者を驚かせたり、喜ばせたりした。このグループのリーダー達3人は、この次には他のグループにも呼び掛けて500人規模で実施したいと、大いに張りきっている。
その後、更に日系社会にも協力の輪は広がりつつあり、協会の寄付受付口座には匿名の振り込み支援が有るなど、徐徐に一般の理解と協力が得られるようになって来ている。
5月30日には、ブラジル健康表現体操協会(川添敏江会長)のグループの代表者4人がブラジル・ニッポン移住者協会の事務所を訪れ、所属16団体298人から集めた貴重な寄付金が届けられて主催者の協会役員達を大いに感激させた。
こうした協力の輪が広がって来た事に関して、主催者の小山会長は「日系社会だけでなくブラジルの一般の人々、特に今回のバイクグループの様な若い人達が関心を持ってくれる様になった事は大変に喜ばしい事です。とりわけ20年ぶりに開催される世界の環境会議、「リオ+20」という大きな催しがブラジルで開かれますので、一般市民の人々に環境問題への関心が高まっていることから、私達のこの植樹事業「日伯・絆の森」作りへの理解者や賛同者がもっともっと多くなってくる事を大いに期待しています。」と語った。
バイク・グループ=「日伯・絆の森」植樹に参加
ブラジル・ニッポン移住者協会とオイスカ・ブラジル総局が共催で行っている、東日本大震災追悼植樹キャンペーンに3組のサイクリング・バイク・グループが植樹に協力したいと申し出。グループによって早速5月12日に第一回の植樹会が行われ、木を植える喜びを知って感激したリーダー達によって、もっと大勢の仲間達に広めたいと、半月後の5月28日に第2回目の植樹会が続いて行われた。この日はペダル・ベルデ・グループ(アイルトン代表)、イビラプエラ・バイク・グループ(フランシスコ代表)、カルモ・バイク・グループ(アレーネ代表)の3グループから50数人が全て自転車に乗って集まり、250本の苗木を一時間もしない内に植え終り、その後お互いの情報交換会も行って、口々に素晴らしい企画だったと大変喜んでいたのが印象的だった。3人の代表は、次回は環境をテーマにしたデザインの、おそろいのTシャツも作り、ペダリスタ500人規模の植樹会をしたいと夢を語っていた。
ブラジル健康表現体操協会も植樹に協力
5月30日グロリア街のブラジル・ニッポン移住者協会の事務所を訪問したブラジル健康表現体操協会(川添敏江会長)の代表者四人は「日伯・絆の森」作りキャンペーンを支援する為に16支部298人から募金した協力金を主催者の小山昭朗会長に手渡した。この日来訪したのは川添会長、植田、小林両副会長と会計役員の大矢さん達4人。「私達も環境問題に大きな関心が有ります。森作りに参加して少しでもお役に立てたら嬉しいです」と語り、又「会員の皆さんが実際に苗木を植える植樹会にも参加したいと希望しているので是非次の植樹会に招待して欲しい」と小山会長に要請した。
小山会長は「こんなに大勢の方達に協力して戴いて本当に感謝感激です。この寄付は皆さんの気持ちを大切にして有効に使わせて戴きます。次の植樹会には必ず皆さんをご招待致しますので是非参加して戴きたいと思います」と約束していた。
「日伯・絆の森」作りに参加しよう!
ブラジル・ニッポン移住者協会では「日伯・絆の森」作りキャンペーンに一般からの参加者を募集しています。一本の苗木を植えるのには、苗木代の他、植樹地の土地の整地、肥料、支柱、施水、植樹後のケアー、等に一本当り約20レアル程の経費が掛かります。今回一口分10レアルから植樹に参加出来るキャンペーンを始めました。皆さんの参加をお待ちしています。
日本の東日本大震災に義援金を贈る事も大切な事ですが、この「日伯・絆の森」作りを通してブラジルから日本の被災者に精神的支援の声を届ける事もまた、大震災の被災者へ勇気を与える事が出来ると確信しています。ブラジルの多くの人々からの支援によって植樹事業が成功し、日本の被災者の人達にブラジルの心が伝わる様、心から祈っています。
参加する2つの方法
(1)募金は一口、10レアルから応募、参加出来ます
最寄りのどの銀行からでも振り込みによって参加応募でき、ご送金は
[BANCO] SANTANDER – 033
[AGENCIA] 4551
[C. C.] 13000095-5
[NOME DA CONTA] ABIJA
ASSOC. BRAS. IMIG. JAPONESES
(2)ボランティアとして参加する
当協会では日本の「国土緑化推進機構」から国外で唯一このブラジルに於いて「緑の羽根」募金運動をすることを許可され、昨年より日本と同じ様に「緑の羽根」募金ブラジル緑化キャンペーンを行っております。この募金運動で集まったお金は、自然の森作りの植樹事業やブラジルに桜の普及活動などをはじめ当協会の行う種々の環境保護改善活動に使われます。
これ等の種々の協会活動にボランティアとしてお手伝いして下さる方、活動して下さる方を多数募集しています。年齢や経験は不要ですし、出来る時だけお手伝いして下さる方でも結構ですので、是非一度応募し、参加してみて下さい。
ブラジル・ニッポン移住者協会
Rua da Gloria, 332 – 1o. andar, sala 11 – Liberdade – Sao Paulo – SP – CEP 01510-000
Tel/Fax: (11) 3276-9450 – E-mail: sengoijyu@ig.com.br