ニッケイ新聞 2012年6月14日付け
13日に歓迎レセプションが行われた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」に先立つ11、12日、リオ市でのTED×リオ+20で、マリーナ・シウヴァ元環境相やカナダの日系四世のセヴァン・カリス・スズキ氏らが講演を行い、会衆から喝采を受けたと12、13日付ブラジルメディアが報じている。
持続可能な開発グッズというべき発明も発表されたTED×リオ+20での講演は、様々な分野で活躍する国内外の専門家によって行われた。
11日に講演を行ったマリーナ氏は、ゴムの木の樹液を集めていた頃の体験なども織り交ぜながら、「現代人は足りないものがないという状態に不足」し、「過剰消費」という病気にかかっていると指摘。環境や倫理を忘れた経済や開発政策は「我々を未来の抹殺者」にすると警告した。
持続可能な開発は、環境や経済、雇用、食糧確保、貧困撲滅など、あらゆる分野にまたがる考え方で、リオ+20の中心議題は「緑の経済」という言い方は、環境への関心をそらすものと考える同氏は、「持続可能な開発はクリーンエネルギーの開発だけをさすのではなく、生き方の問題」として、数千年前からある資源を知恵を用いて使う事の必要性を強調。環境政策は長期展望が必要なものが多く、短期政策と対立する事が多いとの発言は、環境相時代、ルーラ政権内で生じた確執を思い出させた。
また、12日にビデオカンファレンスを行ったカナダ人の環境活動家セヴァン氏は、1992年の「地球環境サミット」で必要性が認識されたはずの持続可能な開発は、20年後もほとんど進展してないと指摘した。
9歳の時に子供環境運動(ECO)という団体を立ち上げ、自分達でお金を集めて参加した92年の環境会議では、12〜13歳の仲間を代表して5分のスピーチを行ったのがセヴァン氏だ。
「私が環境運動をしているのは私自身の将来のため」「ここに立って話をしているのは未来に生きる子供達や世界中の飢えに苦しむ子供達、もう行くところもなく死に絶えようとしている無数の動物達のため」と語り、「まだ子供の私にはこの危機を救うのに何をしたらいいのかはっきり解らないが、あなたたち大人も良い解決法を持ってないという事を知って欲しい」「どうやって回復すればよいかわからないものを壊し続けるのはもう止めて」と訴えた12歳の少女も、今は32歳の2児の母親。
20年の活動を通し、政治家は何も変えてくれない事に気づいたという同氏は、「子供達への愛が、地域社会を動かし、世界を変える行動の原動力」と確信し、「自分達が地域社会に出て行き、自分達が社会を変えていくべき」と訴えた。
マリーナ氏の「国民の声を集めて政治家に圧力を」との声やセヴァン氏の訴えが、地球温暖化防止のための目標の絞込みにも難航中のリオ+20に届く事は子供達に地球を残せるかの鍵となる。