ニッケイ新聞 2012年6月14日付け
大サンパウロ市圏で相次ぐバールやレストランの集団強盗事件を受け、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事が「恋人の日」や「母の日」などの記念日に警察の警備を強化すると発表した。13日付伯字紙が報じている。
12日午前1時頃、サンパウロ市ジャルジン・パウリスタのバール・バルコンに5人の強盗が押し入り、15人の顧客と6人の従業員から携帯電話やクレジットカード、バッグや宝石などを強奪。レジの現金200レアルを奪い取る際、ウエイターらに暴行も加えている。
レストランなどの集団強盗事件は今年に入ってから増えており、業界によれば20件。アウキミン知事は12日、保安局幹部やレストラン業者の代表らとの会議の後、今後の対策を発表した。
対策のポイントは以下の四つ。ひとつは警察による警備体制の増強で、「恋人の日」などの記念日には、午後6時以降に配備する軍警を従来の3500人から390人増の3890人にするほか、パトロール用の車両を215台、オートバイを70台増やす。州知事はROTAやGARRAといったエリート部隊も警備強化に投入、年末までに、内勤の軍警7千人を外勤にまわす意向だ。
二つ目は、こうした事件で犯人たちが盗んだ品の受取人の調査の強化。三つ目は照明や緊急警報機を設置など、レストランの警備を強化するよう指導する。四つ目は、大サンパウロ市圏のサントアンドレ市で実施されている市民が警察を助けるプログラム〃ヴィジニャンサ・ソリダリア〃を州内の都市でも採用することだ。
この対策案にレストラン関係者はおおむね満足な反応を示しているが、ホテル・飲食店協会(Fhoresp)のアントニオ・エンリケ・ブランコ副会長は「祝い事の日以外にも警察にいてほしい」と語っている。
ジャルジン・パウリスタやイジエノポリス、イタイン・ビビといった飲食店街のレストランは集団強盗に怯え、顧客の1人は「カードも宝石も家に置き、飲食の金だけを持ち歩いている」と語り、レストランのある従業員は「以前より常連さんが店にいる時間が減って、数も少なくなっている」と語る。Fhorespによると、集団強盗事件の影響で、レストラン業界の収益は20%落ちているという。
また、バール・バルコンに押し入った強盗が18〜20歳と見られているように、昨今のレストランの集団強盗は若年層の犯罪が目立っている。これは犯人たちが規模の大きな武器を持っていないことを意味するが、同時に理性がなく抑制が効かないため何をしでかすかわからないと、専門家は危惧している。