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ペトロブラスが投資を拡大=ドル建てで5・2%増=バイオ燃料の枠は縮小?=緑の経済への流れに逆行

ニッケイ新聞 2012年6月16日付け

 「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」初日の13日、ペトロブラス経営審議会が、化石燃料の開発・採掘への比重を増やした投資計画を承認したと15日付伯字紙が報じた。投資額はドル建てで5・2%、レアルでは7・1%拡大したが、詳細説明はリオ+20終了後という。

 13日の経営審議会が承認したのは、12—16年の投資計画で、その総額は2365億ドル。2247億ドルだった11—15年の投資計画を5・2%上回る案は、化石燃料への投資を増し、バイオ燃料への比重を減らすものとなった。
 岩塩層下の油田発見などで、世界的にも石油や天然ガスの埋蔵量が豊富な国の仲間に入るブラジルだが、化石燃料の石油や天然ガスは、将来は枯渇する事と温室効果ガスの排出を生む事が世界的な懸念材料。その意味で近年注目されているのが穀物や海草などを原料として生産するエタノール(アルコール)やバイオディーゼルといったバイオ燃料だ。
 ジウマ大統領が13日に、「ブラジルは再生可能なエネルギーが全体の45%と国際平均の11%を大きく上回る国で、エタノールを積まずに走っている車は1台もない」と誇ったように、バイオ燃料は、水力発電などと共にブラジルにおける持続可能な開発の鍵を握る。
 また、リオ+20の中心テーマは、リオ92でも確認された持続可能な開発で、化石燃料の利用や温室効果ガスの排出をいかにして減らすかは、官民を超えて関心をよせる議題の一つだ。
 それなのに、リオ+20初日に承認された投資計画が、化石燃料の開発・採掘への投資を1275億ドルから1418億ドルに増やし、その比重を現行の57%から60%に拡大した一方、バイオ燃料への投資を、41億ドルから38億ドルにし、その比重は2%から1・6%に縮小とあっては、持続可能性を主眼とした〃緑の経済〃への移行を目指す時代の流れに逆行との批判が出ても不思議はない。
 また、エスタード紙が、現実に即した目標をと考えるグラッサ・フォステル総裁と政府経済閣僚との間で意見の対立があると記述しているのも気がかりだ。
 フォステル総裁達は現実に即した実現可能な数字をと考えるのに対し、経営審議会会長でもあるギド・マンテガ財相らは、世界有数の石油開発公社であるペトロブラスに対し、目に見える形で成果を出す事と、投資拡大という政策に参加する事で経済の牽引車としての役割を果たす事を要求しているという。
 石油と天然ガスの日産目標が640万バレルから570万バレルに減ったのは、それに代わる燃料確保のめどがあっての事か否かは言及されていないが、石油派製品を輸入しているブラジルで、精製と輸送・商取引部門への投資比率が31%から27・7%に減っているのも不可思議だ。