ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | マルヴィナス問題=英国に「話し合いを」=クリスチーナ大統領が要求

マルヴィナス問題=英国に「話し合いを」=クリスチーナ大統領が要求

ニッケイ新聞 2012年6月16日付け

 国連の脱植民地化特別委員会の席で、アルゼンチンのクリスチーナ大統領がマルヴィナス諸島の主権奪回を求めて英国に話し合いを求めた。15日付伯字紙が報じた。
 クリスチーナ大統領は15日、ニューヨークでの国連脱植民地化特別委員会の席で、「マルヴィナス諸島は時代錯誤的な植民地主義の犠牲者だ」と訴え、同諸島に関する持論を展開した。それによると「英国はマルヴィナス諸島から1万4千kmも離れています。私は島からわずか400kmのガジェーゴ島出身で、島から飛びたつ鳥だって見ることができます。でも、その鳥たちも、エクアドルまでは行くけど英国までは行きません」と語った。
 だがその一方で「私たちは何も英国側に〃マルヴィナスはアルゼンチンのものだ〃と言ってほしいわけではありません。ただ、話し合いの席について欲しいだけなのです」と英国政府に配慮した発言も行った。
 また、今年で勃発から30年を経たマルヴィナス戦争に関しては、「今もあの戦争で犠牲になった兵士の母親が悲しんでいるというのに、英国人が〃フォークランド〃の旗を振り回して喜んでいる光景を見るのは人の死を祝っているようで恥ずかしい」と語った。
 一方、英国のキャメロン首相はロンドンで、マルヴィナス問題は「島民の将来に関する問題で、単なる土地問題ではない」とし、話し合いの席に着く意思がないことを明らかにしている。
 委員会にはマルヴィナス諸島の代表も出席し、島はもう植民地ではなく民主的な統治を行っていると発言の上、英国とのつながりを維持したいとの意向を表明した。同諸島は1833年以降、英国領となっている。
 今回のクリスチーナ大統領の発言後、ブラジル外務省のヴェラ・ルシア・マシャド外交副局長は「すばらしい」と賛辞を送り、交渉再開を求めた。