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リオ+20の声明文まとまる=中身の濃さに疑問残る=新しい基金の記述はなし=先住民らのマニフェストも

ニッケイ新聞 2012年6月20日付け

 「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の最後のセクションとなる首脳会議直前の19日未明、各国や各地域代表による声明文の取りまとめ作業が終わったと同日付ブラジルメディアが報じた。新たな基金の設立や具体的な目標などを盛り込まない声明文には、欧州連合(EU)や非政府団体(NGO)からは脆弱との批判も出ている。

 ルイス・アウベルト・フィゲイレド・マシャドブラジル大使ら、各国・各地域の代表がまとめた声明文は、数カ月をかけた話し合いの実であり、今後の世界の取組みの方向を決めるものだ。
 声明文のたたき台は今年1月に各国や各地域に送られ、以後、何度も会合を重ねて検討されてきた。当初19ページだったたたき台は、国や地域からの疑問や要請などを盛り込んで278ページまで膨らんだが、13日のリオ+20準備委員会の時点で80ページ、16日の時点では56ページまで絞り込まれた。
 アントニオ・パトリオッタ外務相が「随分スリムになった」と言うほど量が減ったのは、準備委員会最終日のはずだった15日までに合意に至らなかった部分を削除したりした結果で、新興国や開発途上国のグループ(G77)が提唱した年300億ドルの新基金設立の記述も消えた。
 同基金は持続可能な開発のための技術開発などの事業を推進するためのものだが、資金源や設立時期などを確定できず、声明文に盛り込む事ができなくなった。
 基金設立の資金確保などの前提になるのは、リオ92で確認された、国や地域が各々の力量に応じた負担を負うという考え方だが、08年以降の経済不況で先進国が及び腰になった事やリオ92以降、国や地域の経済力に生じた変化などが、全体合意を難しくした。
 国際的な金融危機後の米国が、持続可能な開発に関する会議はもっと後の方が良いとし、リオ+20の開催に消極的だった事を伺わせる文書なども明らかになる中、20日からの首脳会議出席者を煩わせないようまとめ上げられた声明文は、水や生態系、森林、海洋、地球温暖化、再生可能なエネルギー、貧困、食の安全、健康、教育、女性の権利、雇用など、多くのテーマを扱う。
 193の国や地域が同意できるよう、議論の的となった項目や具体的な目標などを外した事で中身が薄くなったとの批判も出ている声明文だが、ブラジル大使や外相は中身の濃い文と胸を張る。
 公式会場の外では、15日から一般市民やNGOが参加する民衆会議も並行開催。18日は、ベロ・モンテ水力発電所などの建設に反対する先住民が、マニフェストの途中で出会った他のグループと共に発電所建設に融資している社会経済開発銀行(BNDES)までデモを行うなど、政府と住民、先進国と開発途上国など、各々の思惑がかみ合わないまま共存する構図を浮き彫りにした。