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カショエイラゲート=リマ判事が担当降りる=家族にも命の危険感じ?=犯罪者に情報は筒抜けか

ニッケイ新聞 2012年6月21日付け

 〃カショエイラゲート〃の言葉も生んだ大掛かりな汚職事件摘発のための〃モンテ・カルロ作戦〃は、事前に情報が漏れており、家族にも命の危険が及ぶと感じた判事が担当を降りたいと監察局に要請したと20日付伯字紙が報じた。
 ゴイアニアの第11法廷の主任代行のパウロ・アウグスト・モレイラ・リマ判事が、第1地域の監察局に事件の担当を降りたいとの文書を提出したのは13日。同文書には、同件の容疑者が命じたと思われる殺人事件も起きており、自分や家族に命の危険が迫っていると記載されている。
 カショエイラ事件は、違法賭博組織の元締めであり実業家でもあるカルロス・アウグスト・デ・アルメイダ・ラモス(通称カルリーニョス・カショエイラ。以下、カショエイラ)が政治家、建設業者等と癒着し、贈賄、公金横領、談合、資金洗浄、脱税等の違法行為を行っていたというもので、同事件を担当し、カショエイラ容疑者らの逮捕や容疑者の1人と関係を持つ同僚判事の電話の盗聴などを命じたのがリマ判事だ。
 同判事によれば、カショエイラ容疑者の犯罪組織ナンバー2であるオリンピオ・ケイロガ容疑者がカショエイラ容疑者との電話で、連邦警察の捜査線上にグループのメンバーの名前が多数上っており、報復が必要だと話していたことなどが判明しており、作戦の内容が2月29日の実行前に漏れていた事や、作戦の当時者名、その個人情報まで筒抜けだという。
 作戦の当事者名や個人情報も漏れていた事は、リマ判事の自宅を訪れた複数の警官が同判事の家族に「モンテ・カルロ作戦について話したい」と言った事からも明らかで、殺人事件が起きる可能性なども考えると、担当を降りたいという同判事の声は切実だ。
 カショエイラ事件の捜査対象は82人で、その中には連警や軍警といった警官が40人含まれている。また、「報復」を口にしたケイロガ容疑者は10の容疑に関係しており、本人名義で4丁の銃を所有。殺人容疑でも告発されている。
 同判事の後任は同じ法廷の主任であるレオン・アパレシード・アウヴェス判事が順当だが、アウヴェス判事はケイロガ容疑者の家族と交友関係があり、担当を辞退。
 国家司法審議会(CNJ)のエリアナ・カルモン国家監査官は、20日にリマ、アウヴェス両判事を招いて話し合う予定だが、アイレス・ブリット最高裁長官もリマ判事への脅迫は通常の域を超えていると懸念の色を隠していない。