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公務員給与=下院委員会が改定案承認=給与上限を大幅に緩める=リオ+20の隙を狙って

ニッケイ新聞 2012年6月22日付け

 下院の特別委員会が20日、連邦政府、州、市の公務員の給与の上限決定権に関する憲法改正案を承認した。21日付伯字紙が報じている。
 この改正案は民主運動党(PMDB)のマウロ・ロペス下院議員によって提案されたもので、特別委員会は6月10日に設置され、これが2回目の審議だった。
 公務員の給与は上限があり、連邦最高裁(STF)の長官の給与以下とされる。つまり、大統領や大臣、議員、判事や公安局などの国家公務員の給与はこれまで、STF長官の給与を超えることを禁じられていたが、改正後は、月給と退職金と特別手当てなどの合計額がSTF長官のものを上回ってもよいとされる。なお、STF長官の現在の給与は2万6723・13レアルだ。
 一方、地方公務員の給与はこれまで、市の場合は市長、州の場合は知事よりも多い給与を支給されることが禁じられていたが、改正案が成立すると、月給と退職金と特別手当てなどの合計額が市長や知事を上回ることが認められるようになる。
 また、これまでは国家公務員の給与の変更を行う場合、国家予算の範囲内で調整され、大統領の裁可を必要としたが、改定された場合は議会での承認のみで済み、大統領の裁可や拒否権を気にしなくてもよくなる。
 この改正案は、上院で審議されるまでに下院で2度承認されることが必要だ。この案が承認された場合、カルドーゾ大統領やルーラ大統領の政権の頃に行われていた、公務員給与の高騰を防ぐための給与制限を無効にしてしまうこととなる。
 また、特別委員会での法案承認は多くの下院議員がリオ+20で不在の中、半ば強引に行われたもので、審議の時間もわずか30分強だったという。
 ロペス下院議員は「連邦政府と、州や市の公務員の給与格差を生む十分な理由がない」と語り、この改正案を提出した理由は、あくまで公務員間の給与の不平等を是正するためだとしている。だが、5月に下院の労働特別委員会はSTF長官の給与を来年の1月から2万6723・13レアルから3万2147・90レアルに上げる案を承認している。