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BISがブラジル経済に警鐘=加熱するクレジット消費=「欧州の二の舞」を危惧

ニッケイ新聞 2012年6月26日付け

 〃中央銀行の中央銀行〃と呼ばれる国際決済銀行(BIS)がブラジルのクレジット額の増大は「新たな経済危機を招く恐れがある」として警鐘を鳴らしている。25日付伯字紙が報じている。
 23日、ブラジリアで世界各国の中央銀行総裁が集まる会議が行われ、ブラジル中央銀行のアッシャンドレ・トンビニ総裁も参加した。その会議の席上でスイスに本部を置く「中央銀行の中央銀行」と呼ばれるBISがブラジルの経済状況に対して警告を行った。
 BISのジェミー・カルアナ総支配人は、08年のリーマン・ショックから続く経済危機から5年目を迎える現在も回復の見込みが立っていないことに対し、「中央銀行や各国政府、銀行が世界の負債に対する解決策を打ち出せず、3兆米ドルの付け焼刃的な資金注入を行ったことは批判に値する」と発言した。
 カルアナ氏は、二つの重大な警告を発した。最初は、大量の資金注入についてで、「先進国で金融危機前の数年間に見られたような状況を新興国に招く危険性がある」と警鐘を鳴らしている。
 カルアナ氏は、ブラジルを含む新興国が経済成長モデルの見直しを行わないとまた別の経済危機を招きうるとも警告した。同氏によると「新興国の経済成長はバランスが悪く、先進国が経済に打撃を受けたときとシナリオが似ている」という。
 特に、ブラジルの経済モデルは不安視されている。ここ3年でのブラジルのクレジット利用額は世界で5番目に大きな伸び率を示しており、年平均13%の増加はブラジルの国内総生産(GDP)の伸び率の3倍だ。BISではGDPの成長率を6%ポイント以上上回るクレジットの増加は「不安定」と見ているから、ブラジルの数字はかなり危険なものといえる。BISはブラジルを含む新興国でのクレジットはGDP以上の拡大を続けており、新たな国際経済危機の火種になりうると警鐘を鳴らした。
 ブラジルが現在推奨している消費活性策はクレジット利用の増大を招くもので、カルアナ総支配人は「経済成長の不足は刺激不足によって起こるのではなく、経済再編の不足によって起こるもの」との見解を示している。
 また、08年の経済危機勃発以降、リオで100%以上、サンパウロ州でも80%と、ほぼ倍増したブラジルの不動産価格の上昇にもBISは注意が必要として促がしている。BISによると、欧州では不動産部門でのバブルの崩壊から失業率の悪化がはじまったという。また、ブラジルと同様の不動産価格の記録的上昇は北京や上海でも見られるという。

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