ニッケイ新聞 2012年6月28日付け
2期8年間にわたったルーラ前政権最大のスキャンダルといわれるメンサロン事件を裁く最高裁(STF)法廷がいよいよ8月2日から開始されることが正式に決定した。27日付伯字紙が報じている。
これは、政府への支持を取り付けるのと引き換えに、連邦議員に対して多額の賄賂を渡す裏交渉が、当時のジョゼ・ジルセウ官房長官(労働者党、PT)を中心として行われたとされる事件だ。05年6月に発覚し、07年8月には最高裁による告発を受けていたが、38人という被告の数の多さも重なり裁判の開始が遅れていた。
5月末には、ルーラ前大統領がジルマル・メンデス最高裁判事にこの裁判の延期を迫ったとの報道が大々的に流れ、前大統領は事実無根と憤慨、野党側は真相究明の調査を求めていた。三権分立における司法の旗印・最高裁としては、政治的圧力に屈したとの印象を残したくないため、面子をかけて8月の裁判を目指していたといわれる。
メンサロン事件裁判の報道が8月に連日マスコミを騒がせる情勢になると、10月の市長選挙に向けて労働者党(PT)にとって不利だと見られており、そのために圧力をかけたのではと報道されていた。
6月の初旬、最高裁は同事件の裁判についての見通しを発表し、リカルド・レヴァンドウスキー報告官の調書作成が終われば、8月1日から裁判を開始する予定と発表していた。その調書作成が26日に終了したため、同日の午後5時26分、STFは公式サイト上で8月2日から裁判を開始すると発表した。当初の予定より1日遅れての開始は、アイレス・ブリット最高裁長官がジョアキン・バルボーザ判事などと話し合った結果、1日の遅れなら裁判に影響をもたらさないであろうとの判断によるものだ。
ブリット長官はレヴァンドウスキー氏に対し、「裁判開始のための正式な手続きに4日かかるから、どうしても月曜(25日)までに完成させてくれ」と裁判の延期の可能性を恐れて嘆願したという。メンサロン事件の被告は38人もいるため、レヴァンドウスキー氏は26日、「こんなに短い期間での校訂は最高裁史上最短じゃないか。普通なら被告1人あたり6カ月かかる。私は最高裁が築き上げてきたものを尊重するべく、全身全霊をかけて調書を作り上げた」と語っている。
裁判では8月2日から30日の間に集中して、関係者の証言、各判事の判決などが行われる。これが遅れた場合、9月3日にセーザル・プルーゾ判事が定年を迎えるために陪審員投票が10人になってしまい、さらに10月初旬までずれこむと市長選挙の時期と重なると見られている。