ニッケイ新聞 2012年6月30日付け
メルコスール(南米南部共同市場)でのパラグアイの加盟停止期間が、同国で大統領選挙が行われる来年4月まで延長された。29日付伯字メディアが報じている。
アルゼンチンのメンドーサに集まったメルコスール加盟国は28日に閣僚会議、29日に首脳会議を開催。議題のひとつは、パラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領罷免に対する制裁として23日に発表された同国のメルコスール参加資格剥奪についてで、各国は同国の弾劾裁判は「民主主義の原則無視」と厳しい見方を示した。メルコスールの参加資格剥奪は21年間ではじめて。
ブラジルのアントニオ・パトリオッタ外相は会議後の記者会見でもパラグアイの資格停止期間を明言しなかったが、首脳会議では、パラグアイの資格停止は同国で来年4月に行われる大統領選挙までと正式に決められた。
だが、パラグアイに対する経済制裁は行われない。パトリオッタ外相は28日に「(民主主義遵守に関する)メルコスール・ウシュアイア議定書に則り制裁を決めた」が「どの国もパラグアイ国民が被害を被るのを望まない」と発言。首脳会議も同じ方針を貫いた。
閣僚会議にはベネズエラのニコラス・マドゥーロ外相も参加したが、ベネズエラの加盟は今回の会議のもうひとつの大きな議題だ。同国は06年からメルコスールへの正式加盟を申請中で、ブラジル議会などが承認してもパラグアイ上院が未承認のため、正式加盟が叶わなかった。チャヴェス政権と同盟を組むアルゼンチンのクリスチーナ大統領は同国加盟に特に積極的で、パラグアイの加盟停止で反対国がなくなった29日の首脳会議で加盟を承認。7月31日にリオで式典を開催する。
メンドーサでは、29日のメルコスール首脳会議後、臨時の南米諸国連合(ウナスール)首脳会議も開催される。