コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年6月30日付け

 文協で24日にあった白寿者表彰。受賞者の代表として謝辞に立った水本薫さんの姿に胸を打たれた。
 自らの足で立ち上がり、直立不動の姿勢でのスピーチ。「祖国を愛し、毎日祈りを捧げている」という言葉からは、日本への溢れる思いと衰えることのない日本人として矜持が伺えた。
 しかし、これだけ祖国を思い、愛している日本人が遠く離れたブラジルにいるということを、日本の多くの若者は知らない。「移民」という言葉が、歴史の授業で大きく取り上げられることはなく、サンパウロ市に巨大な日系コロニアがあるという事すら知られていない。
 多くの企業が「グローバルな人材」を求める昨今の日本社会だが、百年前に先陣を切って国際化に貢献した移民とその子孫たちが、日本史の中に含まれないのはなぜか。当地に来て強く感じている疑問である。(酒)