ニッケイ新聞 2012年7月4日付け
6月に多発した軍警殺害事件の余波は終わらず、7月に入っても軍警絡みの事件が続いている。1、3日付エスタード紙が報じている。
2日午後7時頃、サンパウロ市北部ジョヴァ・ルラル地区の市民統合センター内にある軍警施設に、オートバイに乗った男性2人組が5発の銃弾を発射した。2発は軍警の建物前方の鋼鉄の板に当たり、もう2発はコンクリートの垣根に当たった。けが人はなかったが、軍警はその後、同地区周辺のパトロールを強化した。
また、1日夜は、サンパウロ市東部のサポペンバで自動車を盗んだ犯罪者と巡回機動隊(ROTA)が銃撃戦を展開し、犯罪者2人が死亡する事件が起きている。
軍警は、6月12日以降、5人の警官(最終的には8人)が殺害されたのを受け、6月22日にサンパウロ市と大サンパウロ市圏の警備を強化。6月24〜30日のあいだに301人を現行犯逮捕、路上でも不審者11万6867人の身体検査などを行った。サンパウロ市では、6月17〜28日に、昨年の同時期より53%多い127件の殺人事件が起きている。
大サンパウロ市圏では6月から7月2日までに、8人の軍警殺害と16台のバス焼き討ち、7カ所の軍警施設襲撃が起きている。軍警は州都第一コマンド(PCC)による復讐とにらみ、PCC支部があるサンパウロ市南部パライゾポリスや東部での取り調べを強化しているが、盗聴により、6月12〜23日に、PCCが6人の軍警の殺害司令を出していたことが判明した。また、サンパウロ市南部のカポン・レドンドでバスの焼き討ちが行われた際、犯人の1人が「おまえたちが殺しつづける限り、俺たちは焼きつづける」と書いたTシャツを着ていた。PCCは5月に起きたROTAとの銃撃戦で6人の死者を出したが、うち1人はROTAによるリンチ殺人だった。