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パラグアイ問題=ベネズエラ外相が事前会談=ルゴ体制の存続望んでいた=メルコスール加盟で火種も

ニッケイ新聞 2012年7月5日付け

 パラグアイのルゴ前大統領が罷免される数時間前、ベネズエラ外相がパラグアイ軍幹部らと会談し、前大統領の路線を維持するように依頼していたことが判明した。4日付伯字紙が報じている。
 6月22日、ルゴ大統領が罷免される数時間前、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ外相はパラグアイの軍部高官らと会談し、ルゴ大統領が罷免されても、ルゴ大統領の指示に従うとの文書を上院に送るよう依頼していた。この模様はビデオに記録されていて、その映像には、マドゥーロ外相とパラグアイの3軍の長、警察の総司令官、アスンシオン駐在のフリオ・プラード・エクアドル大使、ルゴ大統領の側近ら数人の姿が映し出されている。
 マドゥーロ外相は、南米諸国連合(ウナスール)の一員としてアントニオ・パトリオッタブラジル外相らと共にアスンシオン入りし、パラグアイ上院が36時間未満で弾劾裁判を行うのを阻止しようとしていた。
 パラグアイのミゲル・クリスト・ハコブス軍司令官は2日の上院で供述し、マドゥーロ外相と会談したことを認め、その内容も明らかにした。実際には、ルゴ大統領が6月22日に「弾劾裁判の結果を尊重する」と発表したことを受け、軍部も同日、「上院の判断を尊重する」との声明を発表していた。
 マリア・リズ・ガルシア国防相はマドゥーロ外相と軍人らの会談は「わが国に対する内政干渉だ」としてベネズエラ政府を批判していたが、3日の記者会見で、会談の様子を記録したビデオを音声を抜いた状態で2分に編集して公開した。
 一方、ベネズエラのチャベス大統領はルゴ大統領が罷免された直後、ベネズエラのテレビ放送でパラグアイでの弾劾裁判は議会によるクーデターであると批判し、パラグアイへの石油輸出の中止を発表した。
 このようにパラグアイの新政権発足に反対の構えを見せていたベネズエラであったが、前政権の崩壊がゆえにかねてから希望していた南米南部共同市場(メルコスール)への正式加盟が6月29日に認められるという、ベネズエラにとっては〃嬉しい矛盾〃が起こったことも事実だ。
 だが、ベネズエラの正式加盟に伴いメルコスールには新たな火種が生じた。これは、新政府を否定された挙げ句にメルコスールの参加資格を失ったパラグアイだけではない。ウルグアイのルイス・アルマグロ外相は、ベネズエラの正式加盟は「ジウマ大統領に無理やり押し通されたものだ」と不満を表明。ダニーロ・アストリ副大統領もベネズエラの加盟国入り撤回を求めている。