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亜国がメルコスールを破壊する=元駐米ブラジル大使が警鐘=パ国を巡る話題にも言及=ムジカ大統領がベ国擁護

ニッケイ新聞 2012年7月6日付け

 米・英で大使を歴任、現在はサンパウロ州工業連盟(Fiesp)貿易問題審議会議長のルーベンス・バルボーザ氏が4日、「アルゼンチンがメルコスール(南米南部共同市場)を破壊する」と発言した。同氏の発言を軸に、パラグアイの大統領罷免などで揺れるメルコスールの様子を垣間見てみたい。

 最近のクリスチーナ・キルチネル亜国大統領の行動はメルコスールの存在を脅かし、「アルゼンチンがメルコスールを破壊する」とのバルボーザ発言を掲載したのは、5日付フォーリャ紙だ。
 バルボーザ氏は、クリスチーナ政権が輸入規制を敷き、メルコスール諸国との貿易にも障壁をおいた事や、スペイン石油大手レプソル傘下のYPFを国有化した事は、ブロック内の調和や存続意義を揺るがすと説明。
 2月に強化された輸入障壁はブラジルにとっても頭痛の種で、閣僚や実務者が亜国まで出向いて交渉を重ねているが、同国への輸出は大幅に縮小、靴業界は国境での製品停滞が1年以上など、深刻な影響が出ている。
 自国産業保護を狙う亜国政府の行為は同国工業の援助には繋がらず、国民や近隣諸国は被害者だと同氏は言う。同氏は、ブラジルは亜国との関係を壊すのを恐れ、同国が許容範囲を超えるのを容認したと批判している。
 また、6月22日のパラグアイでのフェルナンド・ルゴ大統領弾劾裁判後、真っ先にパ国駐在大使を呼び戻し、新政権承認を拒否したのは亜国。同国の意向だけならメルコスールは経済制裁を科し、域内をより不安定にしたと同氏は見ている。
 メルコスールへのベネズエラ加盟承認についても、ルゴ氏に弁明の時間を充分与えよとの南米諸国連合(ウナスール)外相団の要請を無視して大統領弾劾裁判を決行したパ国は、メルコスールとウナスールの参加資格を停止されたが脱退や除名ではないから、パ国不参加出の加盟承認は不当と批判。06年にベ国加盟を呼びかけたのは亜国、今回のメルコスール議長国も亜国だった。
 一方、ウルグアイでは、ベ国のブロック加盟承認はジウマ大統領が圧力を掛けた結果との外相発言やベ国承認に不満を表した副大統領に対し、ホセ・ムジカ大統領が4日、ブラジルの呼びかけで同件が話し合われたのは確かだが、ベ国加盟は伯・亜・ウ3国の合意の結果と発言した事はエスタード紙も報道。正副大統領はライバル関係で、同国の不安定さも窺われる。
 マルコ・アウレリオ・ガルシアブラジル大統領府特別顧問は、パ国のメルコスール参加資格停止には他国で民主主義を脅かすような行動が起きるのを制する意味ありと発言。パ国新政権は弾劾裁判直前に軍幹部らと会ったベ国外相の行動を批判し、4日にカラカス駐在大使召還を決めたが、ベ国資本が大半を占める多国籍TV局テレスルは、パ国が見せたビデオは他国外相やウナスール事務局長も集結した部分を見せていないと非難している。