ニッケイ新聞 2012年7月6日付け
4日夜、サッカーの南米一を決める第53回リベルタドーレス杯決勝で、コリンチャンスがアルゼンチンのボカ・ジュニオールズを2対0で制し、チーム創立102年目で悲願の同杯初優勝を果した。5日付伯字紙が報じている。
ボカの本拠地ブエノスアイレスでの6月27日の決勝第1試合を劣勢から追いついて引分け、波に乗っていたコリンチャンスは、4日の第2試合をサンパウロ市パカエンブー・スタジアムに移して行った。約3万8千枚の入場券は即座に売り切れ。入りきれなかった熱狂的なファン用にアニェンビー公園に設置された大型スクリーン前にも約2万8千人が集まり、優勝達成の瞬間を待ち望んだ。
コリンチャンスは多くのファンの期待に臆することなく、これまで通りの試合運びを行った。ここまでの13試合でわずか4失点という堅い守備で前半を0—0で折り返すと、後半に攻勢に出た。8分、相手ゴール前での混戦からダニーロが後ろ向きに軽くバック・トスを送ると、それを受けたエメルソンが強烈なシュートを決め、1点を先制し、パカエンブーを大いに沸かせた。
この先取点で最も勢いづいたのはエメルソン自身だった。27分、中盤での相手のパス・ミスをカットしたエメルソンは、守備の甘くなった相手ゴール前にドリブルで攻め上がり、ゴール右隅にシュートを決め、この日2点目。これまで実力を評価されながらも、2006年に偽造パスポート問題で逮捕され、2010年にはフルミネンセの全国選手権優勝に貢献しながらも不用意な言動から解雇の憂き目にあっていたトラブルメーカーがこの大一番で輝いた。
その後はボカの反撃を許すことなく、午後11時53分、コリンチャンスは2—0で逃げ切り、待望のリベルタドーレス杯初優勝を決めた。
試合後、フォワードのジョルジ・エンリッケは「僕たちにスターはいないけど、謙虚で最高のチームだ」と語ったが、それはチテ監督が目指したチームの姿そのもの。相手を徹底マークし、空いたスペースを一切作らない組織型サッカーで、コリンチャンスはこのリベルタドーレスを14戦無敗で終えた。同杯を無敗で終えたのはわずか7回、5チームで、1978年のボカ以降では初。ブラジルでは1963年のサントスに次ぐ快挙だ。
5日の伯字紙はフォーリャ紙が15頁、エスタード紙が18頁の特集記事を組み、コリンチャンスの優勝を祝福。サンパウロ市内各地での花火は6日朝まで鳴り止まず、出勤時の電車や路上も、コリンチャンスのユニフォームやTシャツを着た人の姿で溢れていた。