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サンベルナルド日本祭=「もっと人呼べるイベントに」=官民一体で規模拡大へ=2日間で5千人が来場

ニッケイ新聞 2012年7月6日付け

 サンベルナルド・ド・カンポ日伯文化協会連合会(傘下5団体、中原アルツール会長)が主催する『第31回サンベルナルド日本祭』が16、17の両日、市内の教職員養成センター(CENFORPE)で開催され、2日間で5千人が来場する賑わいを見せた。1982年から「移民祭」として毎年1日のみ開催してきたが、31回目の今回、「趣向を変え、全市民に日本文化を紹介したい」と2日間に拡大。施設は市の無料提供を受け、来年以降は市や州からの資金援助が受けられるよう交渉が進んでいる。連合会会員は約500家族だが、非会員の日系人も多く住むサンパウロ市近郊有数の日系社会を誇る地域の取り組みが始まった。

 「今年は力を入れています。今までの移民祭は地味過ぎた。今時はあちらこちらで日本祭りが流行っていて人気。サンベルナルドのような都市ならばもっと人を呼べると思った」。みずほ文協の役員も務め同文協に太鼓のグループを創設、自らも演奏する中原会長(69、二世)は、そう熱意を込める。
 昨年までは市の劇場を借り、関係者のみで小規模に行われていた。
 「1万5千枚のパンフレットを刷って宣伝にも力を入れた」という実行委員長の吉元哲夫さんは(64、二世)は「ブラジル人が好きな日本食と太鼓の演奏も取り入れた。今までとは違って大勢来ています」と手ごたえを感じている。会場が市の中心から離れているため「来年はもっといい場所を押さえられたら」と、すでに目線は来年に向いている。
 両日、会場では連合会傘下のサンベルナルド・ベースボールクラブなどがヤキソバ、天ぷら、お好み焼きなどの日本食を販売、30店を越える日用品等の売店も並んだ。
 施設内の舞台では中平マリコさんのショーやカラオケ、太鼓、踊りなど多彩な演芸が披露され、生け花の展示、折り紙や書道などのワークショップなども非日系の来場者を中心に関心を集めた。
 毎回移民祭に参加しているみずほ村婦人会の皆さんは、前日、当日の朝に準備したという手作りの餅を販売。その場で餅つきも披露し、搗き立てを手際よく丸めていた。
 会長の井上幸さん(67、三世)は「こんなに大きいところでやるのは初めてで、どれくらい作ったらいいか迷ったけど、売れているので良かった」と安堵の表情を見せていた。

市議会が熊井さんを表彰=日本語教育への貢献で

 南洋行市議の主催で初日夜、ジョン・ラマーリョ章の授与式が行われ、今年はサンベルナルド日伯文化協会運営の日本語学校で長年教師を務めた熊井邦子さん(67、秋田)が受章した。あでやかな着物姿で現れた熊井さんは「昔の生徒達が大勢来てくれている。嬉しい」と喜んだ。
 熊井さんは技術移民の夫と1972年にブラジルへ。81年から同校で25年教鞭をとり、今も同文協役員として活動する。「父兄や歴代会長に理解があり、仕事がしやすかった」と謝意を表す。最盛期には生徒が300人を数え、一人で100人を受け持っていた往時を懐かしみ「常に(ポ語の)辞書を持ち歩いていたので、ドナ・ジショナーリオと呼ばれていました」と笑った。