ニッケイ新聞 2012年7月11日付け
引退後もブラジル宗教界に絶大な影響力を持っていたリオのエウジェニオ・デ・アラウージョ・サレス名誉大司教が9日夜、91歳で逝去したと10日付伯字紙が報じた。
1920年11月8日にリオ・グランデ・ノルテ州アカリの敬虔なカトリックの家庭で生まれたサレス氏は、セアラ州で神学と哲学を修めた後、司教としてナタルの教会に遣わされた。
カステロ・ブランコ大統領(在位1964〜67年)に「ブラジルで最も危険な司教」と呼ばれた事もあるサレス氏は、バイア州やリオ州でも忠実に任を果たし、バチカンからの信任も厚く、ブラジル枢機卿にも任命された。
また、2008年には、南米諸国が軍政下に置かれた1976〜82年に、各地から逃れてきた人々4000人以上をかくまった事が世に知られるなど、多方面で影響力を持った人物だった。
リオでの働きは30年に及び、神父や修道士の育成に努める傍ら、60以上の教会を建ち上げた。自らが聖職者として模範を示す一方、貧しい人への援助も惜しまず、国民からの信望も厚かったサレス氏は、引退後もテレビや新聞を通してメッセージを語り続け、国内で最も影響力のある人物の一人に数えられていたという。
同氏の死を悼み、リオでは10日正午に260の教会が一斉に鐘を鳴らし、11日15時まで2時間おきのミサが繰り返される。リオ州知事は3日間の服喪も宣言した。